1ヶ月後、オミクロン株で1,000人死亡する日
- jeremmiemoonchild
- 2022年1月21日
- 読了時間: 14分
更新日:2022年3月9日
長らくこのブログは書いていませんでしたが、さすがによろしくない状況で、よろしくない対策が行われそうなので、やむなく書くことにしました。今日は、2022年1月21日です。
昨年の11月から12月にかけては、もはや「Zeroコロナも夢ではない」というレベルにまで感染が縮小していました。しかし、そのような目標を持つつもりすらない政府は、おそらく米軍基地を中心にオミクロン株の流入を許してしまい、昨日、1月20日の新規感染者数は4.6万人に達しました。たった、1ヶ月程度で、天国から地獄への大墜落であり、暗澹たる気分です。

この間、まことしやかに報道されていたのが、「オミクロン株は重症化率が低い可能性」です。あまりに何度も繰り返されるので、多くの人がそう信じてしまっているくらいです。どのような事実に基づく「可能性」なのかはさっぱり説明がないのですが。オミクロン株が最初に見つかった南アフリカのデータはこちらです。たしかに、最後の波がオミクロン株で、今までの波と比較して死者数の山は低いように見えます。

問題は、これがオミクロン株が弱毒化したためなのかを精査せずに、人の期待に沿った記事を書きたいだけの報道です。まず、南アフリカにおけるワクチンの接種状況を見るべきです。2021年の6月くらいから高齢者を中心に接種を始めて、高齢者の2回接種が6割くらいまで行きわたったのは、10月くらいではないかと思われます。それにより、直近の波で、高齢者の感染割合や全体致死率が下がったと考える方が自然です。

同じことが、日本のデータを見るとわかります。第4波と比べて、第5波の感染の山は4倍の高さなのに、死者数の山は半分くらいの高さで済んでいますね。

南アフリカの後、日本より少し前に、オミクロン騒動をやっているイギリスやアメリカで死者が出ていないという報道もあります。死者は2週間以上遅延して出てくることと、上述のようにワクチン前の状況との比較には注意を要することを考えると、判断は時期尚早でしかありません。そもそも、アメリカは5ヶ月間も実数で1,500人もの死者を出し続けている国で参考にすべきとは思えないし、イギリスの死者数ははっきりと上昇し始めています。

「ワクチンで防御できているのなら、それはそれで良いのでは?」と思うかもしれません。ですが、日本の高齢者のワクチンの感染防御効果はとっくの昔に切れています。下のチャートで、高齢者の感染者の全体に占める割合と、全体致死率が下がっていた時が、その効果が続いた期間です。昨年の11月以降、完全にワクチンの効果切れにもかかわらず、死者数が少なかったのは感染自体が少なかったからに他なりません。

それでは、今回の第6波で高齢者は感染しているのでしょうか?全体感染者数の急増ばかりが報道されていて、そんなこと知りませんよね。実は、もうすでに、今までの各波でのピークくらいまで、1日あたりの高齢者の感染が発生してしまったのです。もし、オミクロンが弱毒株ではなく、致死率が同じであれば、今までのピークと同じレベルの1日の死者が出てしまいます。それは、1日100人強です。

そして、気が付いている人は少ないと思いますが、ここ数日10人程度の死者が出ていますが、これは少ないのでしょうか?

こちらが、いままで何度も紹介してきた私の新型コロナの死者予測のチャートです。積み重ね面グラフは、年代別の1日の感染者数に、それぞれ年代別の致死率をかけ合わせ、17日後方にずらしたものです。例を挙げますと、仮に80代以上と70代でそれぞれ100人ずつの感染者が今日発見されたとすると、それぞれから13.32人と7.21人の死者が、平均して17日後に報告されると想定してます。すべての年代で、毎日のこのような数字を積み上げて、いつどの程度の死者が出てしまうかを予測しています。大事なのは、面グラフが先に存在し、実際の死者数は17日後に現れるということです。
特に、第2波から第4波まで、実際の死者数(赤線)が面グラフに沿うように発生していることがわかります。第一波では、実際の死者数の方が多く見えますが、これはむしろ検査が少なすぎて陽性者が少なかったためです。第5波の実際の死者数が、予測値よりも低いのはワクチンの重症化予防効果により、高齢者が感染した場合の致死率が低かったからです。また、第5波だけ、50代、40代の死者の予測が出ているのは、致死率は低くても感染者数=母数が多かったからです。
そして、第6波ですが、2月1日には100人を突破すると出ています。そうなるのか、確認するには、赤丸内の直近の死者数が予測値通りに推移しているかどうかを見る必要があります。

拡大します。実際の死者数(赤線)が、面グラフに沿うように急速に上がって来ています。オミクロン株で致死率は下がっていないと考えるべきでしょう。

1月も残すところ10日程度ですが、それを過ぎると100人を超えるコロナ死者数が出ていることはお分かりいただけたと思います。これは、すでに確認された高齢者の感染者の中から生じるので、残念ですが変えようはありません。しかも、それで話は終わりではないのです。
さすがに、過去最多の1日の死者数が出るころには、テレビに出るような専門家や政治家も、「オミクロン株は思ったよりも致死率が高い」などと言い出すでしょう。根拠もなく、さんざん、「オミクロン株は重症化率が低い」などと言っておいて無責任ですね。でも、もっと恐ろしいことに、その時はもう遅いのです。
直近の週毎増加率は、+74%です。このままで、1月末には1日の感染者数は10万人に達します。ずいぶん大きい数字に思えますが、昨日が4.6万人ですから、さほど驚くにはあたりません。

2月になって、死者数も多いと気が付いたとしても、1日10万人の感染者から死者が出るのは17日後です。その時の1日の死者数は600人です。この長期予測(青線)は、感染者数の予測 x 全体致死率でできています。全体致死率は、直近で面グラフと一致する数値を取り、現在は0.6%となっています。
2月の初旬に、なんらかの有効な対策が打たれたとしても、それが功を奏するには1週間以上かかるでしょう。その頃には、すでに1日に17万人程度の感染者となっており、それを反映した1,000人以上の死者数が出るのは2月の下旬、今からちょうど1ヶ月後となります。

おわかりいただけましたでしょうか。ここで説明した内容は、極めて短い期間に素早く起きることなので、もはや避けようがないように思います。高齢者がいらっしゃるご家庭は、高齢者のステイホームというか、隔離が唯一の策のように思います。私の母も階下に住んでいますが、そのようにするつもりです。
2022年1月21日
ジェレミー・ムーンチャイルド
追記、
昨日、ニュースを見て度肝を抜きました。49才以下はコロナの検査すらしないかも、というのです。感染拡大の主体は、若者と現役世代です。検査もせず、治療もしないなどと、国が見捨てるような発言をするだけで、感染抑制に協力しなくなることは想像も出来ないのでしょうか。
2022年1月23日追記、
<弱毒化データの注意点>
「オミクロン弱毒株はデマ」と言い続けていますが、データを見る際の注意点をまとめます。遅行指数、ワクチン効果、年代別分析、計上遅延、定義、高齢化率、治療法などが、キーワードです。急激に感染状況が変わっているときに、本質を見極めるのには必須です。
致死率:
<遅行指数> 死亡数は2週間は遅れて出てくるのに、それを無視して直近の感染者数を母数にしていないか?
<ワクチン効果> 株の違いを見るのに、ワクチン前・後でデータを比較していないか?
<年代別分析> 感染拡大期は高齢者の構成率が低いのに、全体や印象で述べていないか?(年代別の致死率で述べるべき。)
<計上遅延> 感染者数が多くなると保健機関が多忙で、死亡数の計上が遅れていないか?
<高齢化率> そもそも、高齢者比率の低い国での低い全体致死率を述べていないか?
重症化率:
<遅行指数> 重症者は遅れて出て、なおかつ、入院期間に積算されるのに、それを無視していないか?
<ワクチン効果> 株の違いを見るのに、ワクチン前・後でデータを比較していないか?
<定義> 重症者の定義がおかしくないか?(東京都)
<年代別分析> 感染拡大期は高齢者の構成率が低いのに、全体や印象で述べていないか?(年代別の重症化率で述べるべき。)
<治療法> 人工呼吸器の代わりにネーザル・ハイフローなど新しい治療方法が適用されるようになり、同じ重症度でも重症者にカウントされていないのではないか?
最後のネーザル・ハイフローについて、わかりやすい「報道ステーション」の動画がありましたので貼ります。(画像クリックで別タブで動画ページに移動。)
<曜日効果>
小池百合子が以前言っていたことを覚えているかと思います。
「今日は月曜日なので、低めに出ますが・・・」
コロナ関連のデータで、今日の数字を評価するのに悩みどころが、この曜日効果です。原因の多くは、土曜、日曜に保健所が稼働していないことだと思いますが、その他にも、医療機関のお休み、そもそも感染機会の多い曜日、診察に行きやすい曜日なども影響していると思います。
この曜日効果を数値化してみました。例えば、今日は日曜日なのですが、感染者数は多め、死者数は少な目に出ることがわかります。また、曜日効果自体も変化しているようなので、月次で推移が見れます。例えば、木曜日は以前は少なめだったのに、2020年10月ころからは多めに出るようになりました。

私の予測は、曜日効果は無視して、7日移動平均を予測しています。ですので、単日データとの解離を見る際には上の表を参考にします。
上の表は、注意と訂正が必要なことに気が付きました。表の中の曜日は厚労省が発表する曜日です。例えば、今日は火曜日なのですが、厚労省が発表するのは水曜日なので、ニュースで見聞きする数字の評価には、上記表の水曜日を見る必要があります。
<増加率の減衰>
追記まで読む人は、マニアっぽいと思うので書きます。
本文では、長期予測の増加率を一定と仮定しました。その方がわかりやすいですし、一定のすごい速度で伸びているようにも見えるからです。しかしながら、週の増加率に減衰傾向が見られましたし、まん延防止等重点措置が2月21日から施行されたので、その効果を見極め、反映させるためにも、増加率の傾向を自動で反映するようにシミュレーターに組み込みました。簡単に言うと、7日前に+80%の増加率でしたが、現在は+66%で14ポイント低いで、7日後は+52%だろうという推測です。同じペースで減り続け、やがて、0%になったところがピークアウトで、その後はマイナスになり感染は縮小します。

なんとか、1日の死者が1,000人に達する前にピークアウトし、それも3月中旬と本文予測より遅くなっています。しかし、4月までの第6波の死者数は4.5万人を超え、これは2022年末までの第5波までの累計死者数1.84万人の約2.5倍に値します。
これらは、あくまで長期予測方法の話しですので、すでに感染が確認された人から導く面グラフの短期予測とは関係ありません。つまり、2月に入って100人以上の死者数が毎日報告されることに変わりはありません。
<花粉>
今までの感染の波の中で、原因を特定できない不思議な感染縮小がいくつもありました。政府の対策や、人流データではあまり説明できないものです。全国的に一斉に起きるため、謎です。年を重ね合わせてみると、波のタイミングが似ているように思えます。気象の影響をまず考えますが、夏も冬もとなると、極端な影響は説明しにくいです。

一つの仮説として、花粉の影響を論じる方がいます。空気中に、アレルゲンである花粉が多くなると免疫を活性化し、新型コロナに感染しにくくなるということです。こちらが、いろいろなアレルゲンとその季節性です。もっとも大きな謎は、第5波の9月からの急速な縮小でした。ブタクサの花粉は多かったのでしょうか?もう少し調べる必要があります。それとも、ダニでしょうか?ダニは全国的に一斉に増えるとは思えませんが。

花粉症の人が多いため、花粉の量を気象庁が予測を出しています。現在、2022年春の予測でわかることは、春の花粉に期待できるとしても、2月中旬以降だということです。17日後の死者数で考えると、2月末までの死者数に花粉が影響を与えることは、残念ながら考えにくいということです。ただし、ピークが少し早くなったり、感染縮小を加速させる可能性はあり、その場合、第6波での全死者数を減らすことにはなります。

2022年1月29日 追記、
<高齢者の感染者数の割合>
余すところ、1月も残り数日となってしまいました。直近での高齢者の感染者数は80代以上だけでも1,000人を超え、この中から数百人の死者が必ず発生するぞと警告を鳴らし続けています。しかも、JX通信社での年代別感染者数の集計にはどうしても遅れがあり、直近は全感染者数の6割程度しか把握できていないのです。
一方、高齢者の感染者の割合は、現在のところ低いです。点線は全感染者数で、右軸は左軸の20倍ですので、左軸で見た場合全感染者の5%ラインになります。70代以上の感染者数は、第6波が5%ラインに沿っているのに対し、第4波までははるかに上です。第5波は5%ラインよりも下ですが、これは前述した通り、ワクチンの高齢者接種の直後でその感染予防効果があったためです。

こちらは、感染者の年代割合の推移で、同じことが見て取れます。

それでは、なぜ高齢者の感染者の割合が低いのでしょうか?考えられる要因仮説をすべて挙げます。原因により、今後の死者数に影響があるからです。
① 検査が多くなり、若年層中心の無症状者、軽症状者にまで検査が行きわたったから
② ワクチンの感染予防効果が持続しているから
③ 感染が急拡大中で、感染拡大の主体は若年層だから
検査数:
検査数が少ないと、検査資源を症状の重い人とその可能性の高い人に集中するため、陽性者における高齢者比率が高くなります。それが顕著だったのが、第1波で上のグラフで見て取れます。第6波で検査数が伸びたことは事実です。しかしながら、過去より多くなったのことだけでは、感染拡大をより広く把握できるようになったとは言えません。

こちらが陽性率です。なんと、第一波よりも高く、25%を超えています。検査をした4人に1人が感染者ということで、検査に来なかった無症状者などが、市中にたくさんいることを示しています。つまり、検査数がは多いとは言えません。仮説①は否定されました。

ちなみに、理想的な陽性率は0.1%です。陽性者数の1,000倍の圧倒的なPCR検査数があれば、Zeroコロナを達成できると考えます。
ワクチン効果:
実は、半年経っても、ワクチンの予防効果が効いているのではないか、というのはとても魅力的な仮説です。高齢者が守られ続けていることになるからです。実際、感染者の高齢者比率は第5波に近いです。事実であれば、ブースター接種も必要ありません。というよりも、それは無駄なことになります。
しかしながら、昨年10月~12月の高齢者比率が高くなっていることから、ワクチンの感染予防効果が続いているということはないでしょう。各種治験的なものも、それは否定されています。仮説②も否定すべきでしょう。
感染急拡大:
残る仮説はこれだけです。
感染が急拡大した時期に、感染者の高齢者比率が下がることは毎回観察されました。これは、感染拡大の主体が活動量の多い若年層や現役層であり、高齢者はいわばウィルスの終着駅だからです。今は、いままでにないスピードで感染拡大中なので、いままでにないほど高齢者比率が低いというだけのことと思われます。つまり、今後感染のピーク、および縮小期には高齢者の感染者比率が上がります。こちらが最新の死者数の予測チャートです。長期予測(青線)は17日遅延した感染者数の0.6%を示しており、集計数字(例:第6波の死者数21,782人)もそれに基づいていますが、高齢者比率が現在の5%から仮に15%に上がれば、その時期はこの青線の3倍の死者数になります。上の、感染者の年代別グラフから15%はけっして非現実な数字でないことはお分かりいただけると思います。

2022年2月2日 追記、
感染者に占める高齢者割合の謎の続きです。こちらのチャートを作成して合点がいきました。高齢者割合が低い理由は、一度完全終息に近いところまで感染が縮小していたからです。
何度も言及している通り、感染拡大の主体は活動量や社会活動量の多い若者や現役層です。高齢者層は終着駅です。ですので、一旦終息に近い状況になれば、次の波が来ても高齢者層に至るには時間がかかるのです。現在の第6波の拡大期は、その意味で第2波に酷似しています。
第2波以降は完全に終息することなく次の波に突入しているため、高齢者への流入が止まることはありませんでした。したがって、第5波のワクチンの感染防止効果が効いていた時を除き、高齢者割合は常に10%以上だったのです。
残念ながら、高齢者割合は5%程度から、15%程度まで上がる可能性があります。同じ全体感染者数であれば、高齢者の感染はそれだけで3倍になり、17日後の死者数も同様になるということです。すでに高齢者の感染者数は、いままでのピークの3倍近くになっており、さらにその3倍というのは、極めて危険な状況にあることを国民に周知するべきでしょう。高齢者のブースター接種を勧めているようですが、このような事実の説明もありません。このままでは、第6波終了後に接種が完了するのではないでしょうか。

2022年3月9日 追記、
このエントリーの冒頭にある南アフリカの死者数がようやく落ち着いてきました。12月中旬に鋭い感染のピークがあったにもかかわらず、最近まで死者数は増えていたのです。死亡報告の遅れなのか、長期入院後の死亡が多いのか、理由はさっぱりわかりません。

いずれにしても、各波の致死率がようやく計算できる状況になりました。第4波の致死率は第3波の半分程度です。原因は、すでに多くの証拠があるワクチンの効果とまず考えるのが妥当です。
「オミクロンではまったく死者が出ない」というデマの最大の根拠だった南アフリカも実情はこの通りです。

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