第二波ピークアウト、8月の謎
- jeremmiemoonchild
- 2020年9月7日
- 読了時間: 18分
更新日:2020年9月11日
<謎>
7月に新規感染者が週毎1.4倍程度の指数関数的に増えていたので、強い警告を発していた私としては、8月に新規感染者数が減少に転じたことは大きな謎でした。同様に4月上旬に減少に転じたときには全国緊急事態宣言があり、大きな行動自粛がありましたが、8月の上旬に思い当たったのは以下の理由程度です。
① 小池知事の酒類提供外食の時間短縮など、各首長の独自対策
② お盆休みによる休業
③ 子どもの夏休み
④ 猛暑による事実上の行動自粛
一方、GoToキャンペーンや、お盆シーズンの帰省や食事会など、むしろ拡散する要因もありました。

とりあえず、減ったんだからよいじゃないかと思われるかもしれませんが、上記の減少要因はすべて期限付きで、それが終われば上昇に転じることを意味します。そのような警告も長期予測では行ってきました。
<深まる謎>
より詳しく見るため、都道府県別のグラフを作ってみました。47都道府県ですと、下の方にぐちゃっと線が重なりますので、8月1日現在の新規感染者数の多い方から13都府県のみです。

これを見て思うのは、なぜ各地域でほぼ同時に(詳細に観察すると、1週間程度のピークのずれはあるが、)8月に入ってから減少に転じたのかということです。繰り返しになりますが、全国規模の強い対策はありません。私は小池さんの酒類提供規制は支持しますが、それが岐阜県まですぐに影響を与えるとは思えません。上記4つの要因仮説のうち、もっとも強いのは猛暑だと感じます。暑すぎて外出を控えた人が多いだろうと思うのです。ですが、猛暑が収まってきても、減少傾向は続いているようにも思えます。
感染者の増加の過程が各都道府県である程度同時進行なのはイメージしやすいです。感染が多いところから、あるいはお互いにウィルスを移し合い、各地域でもどんどんと増えるということです。しかしながら、減少の場合はどうでしょうか。各地域で増えていた理由が抑制されなければ、供給源となる感染が濃厚な地域で抑制されても、減少に転じるとは思えません。
異なるところで、同時に同じ事象が起きれば、両方に影響を与える要因が影響したか、個々に時限装置が同時に設定されたか、単なる偶然かということになります。あるいは、箸でかき混ぜ続けるみそ汁のように、日本全体のウィルス感染はおよそ一つのものだという見方もあるかも知れませんが、それほどに人の動きは多いとも思えません。感染は指数関数的に拡散しますが、感染抑制は勝手に拡散しないと思うのです。熱力学の第二法則で、エントロピーは時間軸を逆向きには進まないのです。
もう一つの可能性は、エピセンターが一つで常にそこから他の場所に感染するけれど、他の場所では人口密度が低いなどの理由で基本的に再生産数は1を切っており、自然終息する状態の場合です。エピセンターからのウィルスの流入量次第で、すべての場所の感染状況が同時に変わります。例としては、焚火とその周囲の物の温度です。焚火の強弱の状態に合わせて、周囲のどれもが同じ経過をたどります。この場合、感染者の多さから考えて、東京だけがエピセンターと考えるのがふつうだと思います。空港検疫がどのていど成功しているか知りませんが、場合によると、空港検疫がこれにあたるのかもしれません。その場合、海外がエピセンターということになります。
<検査仮説>
猛暑や、7月の急増で警戒した各首長の取り組みの可能性は残りますが、もう一つ思い付きました。1ヶ月近くなぜ気が付かなかったのだろうと不思議でなりません。検査拡充による隔離が功を奏した可能性です。6月の1日6,000人台から、8月には2万数千人程度まで検査人数は増加しました。人口当たりの検査数は欧米には及びませんが、東アジアの国では一旦は韓国並みになり、一応高い方とも言えるのです。

陽性率が高いのは、優秀な国よりもまだまだ感染者数が多いからです。

はっきりしないのでいらいらしますが、濃厚接触者であれば無症状者も検査対象に含むという方針転換が7月ごろあったと思います。それによりいままでよりは網の目が細かくなったネットですくっているため取りこぼしが減り、1ヶ月経過して、「隔離が拡散を凌ぐようになった」という可能性はあるのではないでしょうか。検査については、PCRスンナ派に文句を言うばかりの姿勢だったため、この仮説に思い至らなかったのだと思います。それもこれも、元を正せば余計なことに頭を使わせるPCRスンナ派のせいです。
調べてみると、日経新聞2020年8月14日付けで、「無症状者検査で感染抑制 英、経済再開でも陽性率低下」という記事がありました。それほど強い根拠を示した記事ではありませんが。
<感染抑制の方法は2通り>
そもそも、天候やウィルスの変異などの外部要因ではなく、人為的に感染を減らす手段は大きく分けて2通りしかありません。
1.すべての人が予防をする
2.感染者を発見し隔離する
ロックダウンも、3密回避も、マスクも、手洗いも、自粛も、ワクチンですら上記1.に属します。よほどよくできたワクチン以外、人の自主性に頼る部分が多いので、必ず一部の無責任な行動を取る人もおり、完璧はありません。ちなみに、急場で作るワクチンの有効性、安全性には極めて懐疑的であるべきです。一方、上記2.は検査を用いますが、完璧な検査方法自体がないので、完ぺきな隔離も理論上不可能です。上記1.と2.は合わせ技で根気よく再生産数を減らして、断固として完全終息まで持ち込むしかありません。
<検査数と感染者数の因果関係>
あたりまえですが、感染が拡大すれば、分子である陽性者が増え、陽性率は上ります。患者の希望や医師の要請によって行われる検査は増加し、さらに、増えた感染者の濃厚接触者の検査が格段と増えますが、感染が拡大しているのでやはり分子である陽性者も見つかります。日本でも7月に起こったことです。逆に、感染が縮小すれば、陽性率は確実に下がります。
感染者++ ⇒ 陽性者++ ⇒ 検査+ ⇒ 陽性率+
感染者-- ⇒ 陽性者-- ⇒ 検査- ⇒ 陽性率-
また、当たり前ですが検査をしなければ陽性者は一切見つかりませんが、分母もゼロです。
検査0 ⇒ 陽性者0 ⇒ 陽性率∞
検査を拡充していくと、無症・軽症者の感染を見つけることになり、少なくとも一時的には必ず陽性者数が増えますが、今までより見つけるのが困難なので分母ほどの増加ではありません。
検査++ ⇒ 陽性者+ ⇒ 陽性率-
検査-- ⇒ 陽性者- ⇒ 陽性率+
これらの複雑な関係性がある中で、検査を拡充したから感染者の実数が減ったということを示すのは容易ではありません。元々の因果関係で検査と感染者には正の相関があるものを、逆の因果関係で負の相関をどうしたら示せるのでしょうか。
検査++ ⇒ 陽性者+ ⇒ 陽性率- ⇒ 感染者- ???
ただし、いずれにせよ好循環が起これば、感染が減り、最初の 「感染者-」のシナリオに入るので、「陽性率の-」がよいインディケーターであることは間違いありません。検査だけが増え、実態は変わりないのに、陽性率が下がったと安心はできない、と考える方法もあり得ますが、検査自体に実害がないことに加え、より多くを確認したという事実が残ります。当然ですが、陽性者の実数を見ることでも感染減少は確認できます。
<各都道府県での検査数>
人口当たりのPCR検査が各都道府県で第一波よりも第二波で増えた様子はすでに紹介しました。全国で2.3倍です。検査が増えていない県は東北、四国に見られ、そもそも感染者数が少ないところです。また、地方でも福島、富山(減少)、福井、山梨(減少)、和歌山、大分のようにもともと第一波でも多めの人口当たりの検査数があった場合も、第二波での増加は少ないです。大きく増加したのは大都市を抱える府県とその周辺が多く、例外は沖縄と徳島です。神奈川は第一波で極端に少なかった分、増加倍率は7.8ともっとも高くなりました。県民としては、検査スンナ派からの改宗に安堵しています

<陽性率の意味>
因果関係でこんがらがっている検査の感染抑制効果を示す方法で、国際的にもよく使われているのは陽性率です。上でも説明しましたが、陽性率は、陽性者数÷検査数なので、分母である検査を増やせば陽性率が下がるのはあたりまえです。また、同じ検査数で分子である感染者が別の要因で減れば、下がるのも当たり前です。
それでも、陽性率を使う一つの理由は、検査に取りこぼしが無いかを見る上で、陽性率は低い方がよいと言われているからです。陽性率が高い場合、それはおよそ事前確立ですので、検査対象の状況や症状が陽性である可能性の高い集団しか検査していない可能性を示唆します。濃厚接触の度合いが高かったり、いかにも症状が新型コロナであったりする集団です。どこの国の医療者も、優先順位の高い人から検査しているという前提です。
しかしながら、感染経路不明であっても、新型コロナの場合は無症状であっても感染していることはあるので、より幅広く、少しでも怪しい人を徹底的に検査しているかどうかを、陽性率の低さで見ることができるわけです。感染が確認されれば、市中ではなく隔離されますので、やがて感染が減り、見かけ上だけでなく、分子の実数である陽性者数が減少するということです。
<都道府県別の陽性率>
こちらが、第二波における都道府県別の陽性率と、人口当たりの感染者数です。縦軸は対数となっていますので、少しでも下に移動すると実際には大きく下がり、それが感染対策の目的となります。異常値である福岡を除き、左下に向かった天の川の上に分散していることがわかります。理想的なのは、青森や山形のように感染者も少なく、陽性率も低く、検査で十分に確認されている状態です。
この天の川が絶対的なものだと考えてみます。愛知県で感染者数を減らしたい場合、陽性率が10%近いままでは真下に動き、下の線を越えてしまうのでそれはあり得ないことになります。検査を増やし、いったん左に移動し、陽性率が低くならないと下に移動できないのです。
上の線に近い東京都はどうでしょうか。陽性率が6%強のままなんらかの方法で感染者数が下がる可能性はありますが、検査を増やし陽性率を5%より下げれば、感染者数は下がる状態にあるということなのではないでしょうか。

傍証にはなりましたでしょうか。第一波の同様のグラフもご覧ください。第二波との縦軸での比較は期間が異なりますのであまり意味はありませんが、石川と神奈川の異常値を除くと天の川はくっきり見えます。

この際ですので、頭の体操で頭が痛くなるグラフをもう一つ載せます。横軸は第一波と第二波の陽性率の差で、縦軸はその期間における感染者数の増加倍率で、対数で表記されています。右上の鹿児島、宮崎、徳島、沖縄と第一波の10倍以上の感染者数を第二波で出した県があることに気が付きました。当然ながら、それらの県は陽性率も上がっています。縦軸の全国平均は2.56倍なので、大きく陽性率を減らした神奈川は1.98倍で健闘したことになるのではないでしょうか。左下の陽性率を下げ、第一波よりも感染者数が少なかったのは、山形、青森、福井、北海道、愛媛、富山、福島、新潟です。

<まとめ>
さてさて、限られたデータを駆使してもなかなか苦しいところではありますが、検査の拡充が8月の新規感染者を減少させた”可能性”についてはご理解いただけたと思います。実は、これが意味するところはものすごく大きいのです。すでに述べたように猛暑などが原因であれば、9月中旬から感染者数は再々上昇に転じるわけですが、検査が理由であればそれを続けさえすれば、終息に向かうのです。さらに検査を徹底・強化すれば、完全封じ込めも夢ではないかもしれません。
「第二波の死者数は第一波を越える」とか、
「日本の累計死者数は中国を超える」とか、
「IHMEは6万人(今は12万人に変わりました)の死者数を予測している」とか、
散々オオカミ少年を演じてきましたが、8月に検査と隔離が機能したという仮説に基づけば、バラ色の2021年が迎えられそうです。すべては9月中旬に新規感染者数が上昇に転じるかどうかにかかっています。
また、PCR検査拡充の感染抑制効果が認められた場合、検査スンナ派の面々がどう言いわけをするのかも見ものです。政府や厚労省においては、早々にPCR検査の拡充をしていれば、亡くならなかった方が多くおり、倒産せずに済んだ企業もあったことになるわけですから、言い訳で済む話しではありません。
2020年9月7日
ジェレミー・ムーンチャイルド
2020年9月8日 追記、
<無症感染者の市中存在>
私が今8月の感染縮小の理由が、検査と隔離が機能し始めたからという可能性に傾いたきっかけは、他の仮説(各県の対策、お盆休業、夏休み、猛暑)に比べて確からしいと感じるからです。いってみれば、消去法に他なりません。ですが、検査と隔離は他の仮説よりも、直接感染そのものに手を下しています。
そもそも、第一波の時に1日で千何百人の感染者が発見されたなどと言われましたが、有症率などで割り戻せば、その日だけで2,000人以上の無症・軽症の感染者を取りこぼしていたことになります。無症患者の感染力についてはまだ議論の余地があるようですが、多少でも感染力があると仮定すれば、無症と言えども何万人もの感染者を市中に放置していて感染が終息するはずはありません。
有症感染者は、まず自分の体調が悪い事から、万が一自分が新型コロナである可能性を考え、あるいは他の病気だったにせよ、周囲に感染しない努力をするでしょうし、そもそも出歩く気力も少なく、自分が回復するためにもできるだけじっとしているでしょう。陽性判定を受ければ、仮に軽症で自宅療養でも家庭内非常事態宣言です。
一方、無症感染者は自覚症状がありませんから、マスクなどの一般的な感染対策をしたとしても、ふだん通りに仕事をしたり、買い物に行ったり、友人と飲みに行って大声で長時間話したりもするでしょう。これにより、たとえば居酒屋の空気が新型コロナ入りのエアロゾルで充満してクラスター化したのではないでしょうか。
緊急事態宣言後の6月に検査が拡充されていて無症感染者も捕捉していれば、恐らく第二波は避けられたでしょう。だからこそ、9月の二度目のチャンスを無駄にしてはいけません。陽性者数が減ったからといって検査数を減らさず、逆にどんどん検査対象を拡充し、陽性率が0.3%くらいをキープできれば完全封じ込めができます。我々は東アジアという本件では明らかに恵まれた状況におり、欧米よりはるかに仕事は「容易い」のです。
<都道府県別の陽性率グラフ>
※この項目は、当初のデータの扱いに根本的な問題が見つかりましたので、9日に訂正しました。
いろいろ考えまして、結局陽性率を監視するのがよかろうと思いました。各県ごとの陽性率の推移を簡単に見れるサイトを探したのですが、見当たらなかったのでまた汗をかきなが作成しました。
47都道府県の推移ですと、インスタント・ラーメンのようで個々にどうなっているのかはわかりにくいです。また、過去21日で計算し、かなり平準化しているのですが妙なスパイクがまだ見えます。これは、分母である検査数の報告が一部の都道府県では不定期にまとめて報告されたり、突然大きなマイナスの修正が入ったりしているからです。一部には分子の陽性者数にも訂正と思われるマイナスが入ったりし、そのため7日移動などは妙なスパイクがプラス、マイナスに多発して使えませんでした。実は、21日移動でも、マイナスのスパイクがいくつかあったのですが、無視します。また、小池知事も確か、「陽性率というものは出せません」というような発言をしたと思います。正確には検査の日ごとに陽性者をまとめるべきなのでしょうが、実際には陽性者判明がいくつかの後日に分かれたりするわけです。
そんなこんなで、多少怪しい面もある陽性率ですが、大まかな傾向は掴めるはずです。まず、第一波は10%以上で推移している都道府県がかなりあるのに、第二波ではそれは限られ、全体にコンパクトに凝縮されています。

具体的な都道府県名がわかる表にまとめました。第一波と第二波で全国の陽性率が一番高かったのは、4月22日の11.8%と8月10日の6.6%です。その谷間で一番低かったのは6月6日でなんと1%を切っていた唯一の日であることがわかりました。さらに直近として9月6日が4.4%となっています。各都道府県で8%以上のところをハイライトしました。
第一波で上のグラフの10%以上で暴れていたのは、基本的に東京、愛知、大阪の大都市とその周辺であることがはっきりとわかります。とくに、東京の陽性率の異常さはグラフでもわかるように大きな弧を描き突出しています。大都市とその付近以外では、北海道、石川、福井、岐阜、沖縄が挙げられます。
第二波でハイライトされた大都市とその付近は、千葉、愛知、大阪だけで、散発的に地方に陽性率の高いところが発生しました。
谷間に着目しますと、0.0%となっているところは実際に分子である陽性者数が21日間ゼロであることを確認しています。ハイライトされたのは福岡だけです。この谷間のチャンスに、無症感染者も捕捉していれば、第二波は迎えずに済んだといえる傍証です。
直近では、福岡と沖縄だけがハイライトされ、とくに福岡が全期間通して継続的に高いことが危惧され、検査の拡充を確認する必要を感じます。また、地方でありながら、石川も継続的に高く、たまたま大きめのクラスターが発生するだけなのか、同様の確認が必要です。

<予測>
この検査拡充が感染を抑制しているという仮説に基づき、長期予測を行いました。今の減少傾向のまま終息するシナリオです。9月以降の死者数は311人。7~8月の実数の307人と加えて、第二波の死者数の合計は619人となっています。政府の愚策の犠牲者です。しかしながら、今現在考えられるベスト・シナリオです。この方向で進むことを切に願います。

<感染経路不明者による傍証>
他にも、傍証を思い付きました。無症感染者を捕捉し続ければ、感染経路不明者は減るのではないかということです。理想論では、取りこぼしがゼロになれば、感染経路不明者が現れることはないはずです。
こちらは東京都の新規感染者数グラフですが感染経路不明者は薄い緑色になっています。小池知事が言っていたように、第一波と比べて、第二波の初期には感染経路が判明している割合が多かったのです。感染の減少過程において、感染経路不明者がより早く減るのも観察できます。検査拡充により取りこぼしが減ったためと言えるかどうかまでは微妙です。

大阪です。全体に感染経路不明者が多い印象がありますが、直近の数字は50%台まで下がっているようです。

陽性率が直近でも14%台で不安のあった福岡県です。これを見る限り、第二波の感染経路不明者が東京と比較して多いとはいえません。直近1週間での感染経路不明者の割合も30.6%と低いです。ただし、今も感染者の濃い集団しか見ていないわけですから、取りこぼしがあるのかもしれません。

やはり陽性率8%台で不安のあった愛知です。なぜか表です。直近の4週間で45%となりますので、他の大都市と比べ感染経路不明者が多くはありません。

私の予想とは裏腹に、陽性率の高い福岡、愛知で、感染経路不明者の率が高いということは認められませんでした。もっともっと陽性率が下がった状況と比較しないと、その現象は認められないのかもしれません。
2020年9月9日 追記、
そういえば、以前は無症状陽性者の人数が発表されていたなと思い出して調べると、どうも5月8日までは発表していたようです。無症状病原体保有者というのが、厚労省用語のようです。空港検疫は全数検査ですので良く見つかります。国内で症状有無確認中を除くと、ちょうど10%が無症状だったということがはっきりしました。

5月8日というのは、第一波の中でもかなり終わりの方で終息状態に近いです。ダイアモンド・プリンセス号やイタリアで感染者の50%以上が無症状であったことを考えると、第一波では無症状感染者の8割以上を取りこぼしていたという事実が浮かびあがります。一方、この1,024名の無症状陽性者はなぜ検査を受けられたのかという疑問が残ります。濃厚接触者で症状のある人だけが当時は検査対象だったはずです。このように何もかもが不透明なのが、いまの日本の政治と行政のやり方です。

厚労省はなぜかフォーマットを時々変えます。翌日の5月9日以降には無症状病原体保有者の統計情報が無くなってしまっています。今現在の同じ情報が手に入れば第二波の状況もわかるのですが、いまのところ見つかりません。繰り返しになりますが、高齢者の年代別致死率の下がり方を見ると、第二波は陽性者の10%ではなく、50%以上になっているのではないでしょうか。そうであれば、早期に終息する期待が持てます。
2020年9月10日 追記、
陽性者の症状別のデータを探したところ、大阪の個表が日別にCSV形式で提供されていることがわかりました。9月と4月の後半を一つのエクセルにまとめて比較してみました。左が4月、右が9月です。70代くらいが同等になるように4月の縦軸を調整し、9月の検査と比較して足りなかった部分がイメージできるようにしました。よく言われるように、第二波では20代、30代の陽性者が2倍くらいに増えています。また、無症状者(赤)が9月の方が各年代でかなり多いことがわかります。

合計で見ると、4月の無症状は、陽性者389名中に12名で、3%でしかなかったのが、9月においては717名中100名で、14%と増えています。しかしながら、これではDP号、イタリアなどの50%以上の無症感染者と比較するとまだまだ低く、多くの取りこぼしが考えられます。
ちなみに、都道府県別の予測よりも、大阪の実数が多かったのを思い出しました。その時の予測方法は、総CFRを24日後にしたものだったので、14日後で調整値0.4をかけたもので再度計算しました。あらたな計算でも、大阪の予測値との解離は全国でもっとも大きいです。感染経路不明者の多さと合わせ、検査が十分でないことが影響している可能性があります。

大阪の9月の無症状感染者の割合が14%というところまではわかったのですが、東京について断片的な情報ですが、15%~20%あたりのようだという情報がありました。これでは、第二波では無症状感染者を多く捕捉しており、8月の感染減少の大きな理由とは言えなくなってしまいます。
同時に、高齢者の致死率が半分以下になった理由もわからなくなってしまいます。もしかすると、無症~軽症というのは線引きのあるものではなく、多くが軽症に分類されているのかもしれません。それなら、若干の期待が持てるのですが。
混乱気味ですが、さらに東京の新規感染者数が再度上昇の兆しとも見えるようになり、その中で小池知事は酒類提供の時短(22時まで)を9月15日で解除すると発表しました。やはり、目標を断固として完全封じ込めに置かないと、このゲームは永遠に続く感じがします。

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