お米の備蓄のすすめ(新型コロナの冬に向けて)
- jeremmiemoonchild
- 2020年8月30日
- 読了時間: 10分
更新日:2020年9月25日
2011年の東日本大震災以来、私は防災マニアでもあります。
災害とは、地震、津波、台風、噴火など、自然災害により社会のインフラや設備が破壊されたり、分断されたりして起こります。生活者にとっては、生きるために必須のサービスが突然止まることを意味します。停電、断水、品不足などです。それらを事前に想定し、できる準備をしておくのが防災です。ちなみに、災害と呼ぶかどうかは別として、自然ではなく、人間が起こす戦争でも似たような状況は起こります。
春に新型コロナが武漢で勃発し、日本でもダイヤモンド・プリンセス号での集団感染があり、徐々に市民生活にも影響が出始めたころ、「これは想定していなかった、新しいタイプの災害だな」と感じました。ウィルス災害も陰謀説で言われるように人工でなければ、自然災害です。しかし、直接機械設備や道路などの社会インフラを壊すことはなく、感染やその予防のため人間自体が仕事をすることができなくなるのです。
また、通常の災害は地域が限定されるので、他の地域から援助を受けられるのに対し、新型コロナは国境をまたいで伝搬し、地球規模の問題なのが特徴です。
その頃、新型コロナにより、停電や断水が起こる可能性について考えました。まったくないわけではありません。各発電所で集団感染が頻発すれば、発電量が減るかもしれないし、送電の保守も今まで通りの作業ができない可能性があります。そもそも、原油を運ぶタンカーが来なくなれば、いずれは火力発電はできなくなります。水道局にしても、作業員が極めて少なくなれば、最終的には止めることになるかもしれません。しかしながら、その可能性はきわめて低いと考えました。多くは機械化、自動化されており、発電所のオペレーターは泊まり込みをしてまで感染を予防しているという、電力会社の電力供給に対する頼もしいコミットメントも報じられました。原油は備蓄もあり、少人数で運行するタンカーが止まる理由も見当たりません。
それでは、品不足は起こるのでしょうか?これは、すでにマスクが数か月間ドラッグストアの棚から消えたように、まず製造国で生産が止まる可能性があります。製造国の中での配送、輸入のための船便、航空便、または通関などで支障が生じる可能性もあります。部品や材料が一つ滞るだけで、国内製造も止まる可能性があります。国内のトラックドライバーが極端に減れば、あらゆる物資の輸送が止まってしまいます。
もちろん、生活者にとっていままでに起きた品不足は以下の程度でしかなく、現状ではそれらもほとんど正常化しています。
① 生産国で製造が止まったマスクや体温計
② 需要増に間に合わなくなったガーゼ、消毒剤、パスタ類、カップ麺、ホットケーキミックス、ホームベーカリー用の強力粉やイースト
③ 供給側には問題がなかったのにもかかわらず、「パニック買い」によって一時的に起こったトイレットペーパーなどの紙類
食料品の品不足の可能性についても考えました。輸入品によっては、生産国の状況によっては入って来なくなります。また、加工品については国内外ともに工場が止まる可能性はあります。加工食品で生きるのに必須なものはパンでしょうか。国内の一次産業については、基本的に人口密度が低く、感染も少ない地方で生産され、感染リスクの少ない屋外作業が多いので、生産が止まる可能性は少ないと思いました。
それでも私は、食料の備蓄を見直しました。「なにが起きるのかわからない」というのが正直なところです。Aがダメだから、Bがダメになり、連鎖的にCもDもダメになるというようなことが、起こりそうな気がしたのです。
ちなみに、最近になって、米国のワシントン大学の独立研究センターであるThe Institute for Health Metrics and Evaluation (IHME)が発表している各国での新型コロナの死者数の予測がツイッター上で話題になっています。なんと、今まで千数百人だった日本での累計死者数が、10月末には6千人、11月末には6万人になるというのです。すべての国でおよそ悲観的な予測をしているのかと思って調べてみると、たとえばお隣の韓国では冬のアウトブレイクはまったく予想されていません。どのような入力データと、どのようなアルゴリズムに基づいて計算しているのかはわかりませんが、これは恐ろしいシナリオではありませんか。

こんなことが起こり得るのかを確認するため、私も自分のシミュレーターで最悪の最悪を予測してみました。
考えてみれば、献金元の業界を救う姿勢を見せるために、感染拡大のリスクのあるGoTo政策を公然と実施し、2020年の第二四半期のGDP成長(年)率が緊急事態宣言のためにマイナス26.4%であることに怯える政府が、再度強い行動自粛を求めることは永遠にないかもしれません。実際に第二波の死者数は第一波を越えるのが明白なのに、知ってか知らずかなにも手を打ちません。
実際に、7月中の新規陽性者数は指数関数的に増加していました。それが8月に減少に転じたのは猛暑かなにかの偶然です。
PCR検査については数こそようやく増えてはきましたが、完全封じ込めを目標とした徹底した全体戦略と検査体制、検査基準がまったく伴っていません。散発的に、たとえば感染注意喚起アプリのCoCoAで濃厚接触の可能性を通知された人にはPCR検査を無料で行うなどと発表しているだけです。
一昨日、安倍首相が辞任の意向を表明し、リーダーシップと責任体制は完全に不在です。「コロナは風邪」というような珍説も、医師を名乗るものからまことしやかに流れ始め、政策にまで影響する可能性もあります。国民も「千人しか死んでない」新型コロナに嫌気がさし、行動自粛には緩みが出ています。
私のシミュレーターでわかったことは、8月に続いている猛暑による感染者の減少傾向が9月の第2週から止まり、反転して上昇に転じ、週毎に1.65倍で感染者数が増え続け、なんら対策を打たなければ11月ではなく、12月に4万人規模の死者数が出るということです。4月の第一波、7月の第二波では数万人という単位の感染者数の波でしたが、なんとその百倍、数百万人という単位の感染者数の第三波が、まるでロケットを抱えた三段跳び選手のホップ、ステップ、ジャーンプとばかりに11月に日本に襲いかかるというシナリオです。


このようなことはまったく起きないかもしれませんし、感染者数が一定の数に増加した段階で、すばやく行動抑制の対策が取られることを期待します。しかし、万が一これに近いことが起きれば、まさに何が起きてもおかしくないのではないでしょうか。いろいろな理由で輸送が止まれば、食糧を含む品不足が起き、スーパーの棚からあらゆるものが消えてしまうということです。そもそも、スーパーで働く人がいなくなれば、スーパーの営業が続けられないかもしれません。
私が食料の備蓄を見直したもう一つの理由は、防災マニアとして、それが不十分であったことを知っていたということもあります。わざわざ、「我が家の防災計画」というのを書き、それに沿って以下の検討と確保を一通り進めてきました。
① 飲料水
② 情報機器
③ ソーラー発電
④ 照明
⑤ 生活水
⑥ 調理機器
⑦ トイレ
⑧ 食糧
しかしながら、食糧については、麺類、缶詰、レトルトカレー、玄米などが、賞味期限ごとに分けて衣装ケースに適当に買ってあるだけで、まことに頼りないものでした。
いろいろな食品を考えましたが、結局のところお米の備蓄が日本人には一番安心です。水と調理具があって、お米を炊くことができれば、おにぎり一個ずつでもかなり長い間生きのびることができる感じがします。それなしに、サバの缶詰やカップラーメンがあっても長続きするわけがありません。
それではお米の備蓄はどのようにすればよいのでしょうか?
基本方針:
あらゆる防災対策に共通することですが、買って保管するだけでは駄目です。機械類であれば、いざという時に故障している可能性がありますし、使い方を忘れていることもあります。半年に一度のメンテナンスなんて、マニアでもできません。そもそも、買うときには一生懸命でも、どこか見えないところにしまい込んでしまうと、買ったこと自体を忘れてしまいます。突然来る災害で慌てている時に使えるようにするには、ふだんから使っているのがベストです。機械類であればそれにより自然とメンテナンスを行われ、災害時でもふだんと同じことを続けるだけなので格段に安心感が違います。
よく言われるように、食料品や消耗品については、ローテーションがこれに当たります。必要なものが出たら、備蓄から使用し、すぐに購入して備蓄を補うのです。これにより、消費期限や備蓄量の管理が常に行えます。
お米に関しても、5年間持つ「備蓄用」というのがあることを知りました。5年後にほんとうにどんな味なのか、5年後に忘れずに入れ替えられるか、緊急時に買ったことやしまった場所を思い出せるか、などの課題があるため、とりあえず備蓄用のお米を20㎏まとめ買いして安心というのはあまりお勧めしません。
パッケージング:
真空パッケージがおすすめです。通常のお米は、精米後できれば2週間以内が美味しいそうです。真空パッケージなら、最長1年程度もつそうです。味は人によりますが、実際に2月に買ったものを8月に食べましたが、なんら問題はありませんでした。また、空気を抜いて平たいカチカチの状態なので、片手で持つことも容易ですし、本棚に立てかけたりもでき、保存もしやすいです。写真でカチカチ感がわかりますでしょうか。個人的には、ふつうにスーパーで売る米にも真空パッケージがあればよいと思います。

精米度:
備蓄用として最も望ましいのは玄米です。つぎはどういうわけか、無洗米だそうです。玄米は若干の備蓄があり、精米機も小型のもの(MK精工製)を持っているのですが、実際にやってみると、最初はおもしろいのですが面倒なので、我が家はいつも通り白米にしました。ローテーションの場合、ふだん食べる前提で選ぶ必要があります。
備蓄量:
妻に聞いたところ、娘3人の5人家族で5㎏のお米を10日間で消費するそうです。これの6倍、5㎏x6袋の30㎏で2ヶ月分を備蓄することにしました。実際に災害に遭い、食糧が不足し、いつ手に入るかわからない状況では、減るのが恐ろしくて少しずつしか食べないのではないかと想像できます。一方、通常は毎食お米を食べているわけではありませんので、実際のところはわかりません。
価格:
ネットで買う場合、送料との兼ね合いで5㎏x2袋で4,000円台のものを見つけています。通常買うものが1,700円ていどだとすると、1袋あたり500円ほど割高になります。ネットですと、生産者の直売のようなものもありますし、先日は8月の下旬で令和2年産の新米が徳島県産コシヒカリ(上記写真のもの)でありましたので、品種・年産などをよく確認して買うことをおすすめします。
ローテーション:
私の頭が悪いのか、かんたんなようでローテーションのルールを確認するのに、エクセル作業が必要でした。

ルールは以下の通りです。
◆ 偶数月に古いものから1袋を消費する
◆ 4の倍数月に、5㎏x2袋を購入・備蓄する
最初のうちは、すぐに目標である6袋を購入する必要があり、試しに食べたりもしましたのでいびつですが、ローテーションが回り始めれば、6袋か5袋が常に備蓄されていることがわかります。たてにお米ごとに見ると、10ヶ月後か、12ヶ月後に消費されることがわかります。
備蓄コスト:
ローテーションが回り始めれば、年間に購入するのは6袋なので、1袋の備蓄のための追加費用を500円とすると、500円x6袋で3,000円が年間のコストです。これで、常に30㎏近いお米が備蓄されている安心料としては私は安いと思います。
いかがでしょうか、新型コロナは特殊な災害で、停電や断水はないと思います。ただし、状況があまりにも悪くなれば、物資の供給には影響が出るかもしれないので、万が一への備えとして、お米の備蓄はおすすめです。もちろん、他の災害時にも役に立ちます。
2020年8月30日
ジェレミー・ムーンチャイルド
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