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第一波よりも遥かに大きい波を迎える東欧から学ぶ

  • jeremmiemoonchild
  • 2020年10月23日
  • 読了時間: 5分

<ヨーロッパの感染再拡大>


世界の地域別に死者数を見ると、現在ヨーロッパが一番良くない状況であることがわかります。3月に日別の死者数が4,000人を超えたときほどではありませんが、すでにその4分の1である1,000人を超えています。



ここで少し「変だな?」と思いました。フランスやイタリアなどのヨーロッパ主要国の状況から、死者数はまだ春の10%強くらいの山だと理解していたからです。



<西欧と東欧>


さらに調べてみると、いままで比較的新型コロナの影響を受けていなかった東欧において、感染が拡大していることがわかりました。こちらは、ヨーロッパの人口当たりの死者数のマップで、左が春にもっとも悪かった4月10日、右が現在です。今はイタリアよりも東欧のほとんどの国の方が濃い色になっています。



<東欧の地図>


とはいえ、外国語学部を卒業している私ですが、恥ずかしながら東欧の国がどこにあるのかさっぱりわかりません。「ほうほう、ここにあるのか。」という地図のお勉強から始める必要があります。



<東欧の死者数>


東欧のすべての国の死者数を見ると、ウクライナ、ポーランド、チェコ、ルーマニア、ハンガリーが多いことがわかります。これらの5つの国で400人近い死者数に上りますので、ヨーロッパの1,000人を超える死者数が多かった理由であることがわかります。なかでも、黒海に近い東側のウクライナとルーマニアは夏の間も徐々に増えていたのですが、西欧に近い(中欧の)ポーランド、チェコ、ハンガリーは、夏の間は低く抑えられていた死者数が一気に増えていることがわかります。また、細かく見ると、ほぼすべての東欧の国で第一波よりも大きな第二波を迎えています。



<第一波への早期対処>


そもそもなぜ、西欧が新型コロナの大きな被害を受けた第一波のときに、東欧はそれをほとんど免れたのでしょうか?こちらのウォールストリートジャーナルの記事によると、


「中・東欧の相対的に貧しい国々が、ウイルスによる比較的ぜい弱な医療システムの崩壊を恐れ、厳しいソーシャルディスタンス(対人距離)規制と感染拡大を抑制するための移動制限をいち早く打ち出したこと」


とあります。具体的には、以下の通りです。


「チェコ政府は最初の感染者が確認されてから2週間もたっておらず、約100人の感染が確認された3月12日に学校を休校とし、国境を封鎖して主力産業である観光業をシャットダウンした。スロバキアは同じ日に国家非常事態宣言を出し、その6日後に21件の感染が確認された。その翌日、9日間で17人の感染を確認した後、ポーランド政府は国境を封鎖し、バーやレストラン、ショッピングモールの営業停止を命じた。」




<イタリアとの比較>


こちらは、急激に死者数の増えたチェコ、ハンガリー、ポーランドの人口当たりの死者数をイタリア、日本と比較したものです。日本ほどではありませんが、被害をイタリアの10分の1程度どに抑えられたことがわかります。対策の早さだけでこれが実現できたのかはわかりません。なにか、「東欧のファクターX」と呼ぶものがあったのではないでしょうか?また、コレが一番恐ろしいことなのですが、チェコの第二波の伸び方は「イタリアの第一波と同じ」勢いであることもわかります。



<チェコの検査状況>


チェコの状況を詳しく見てみます。人口は約1,070万人(右上)で日本の1割程度ですが、第一波(6月末時点)での新型コロナの死者数は348人で日本の3分の1程度です。検査数(青の面積グラフ)に注目してみると、人口を考えると日本よりは多いのですが第一波のピーク時に8,000件程度でしかなく、陽性率は5%程度で済んでいます。少なくとも、膨大な検査と隔離で抑え込んだわけではないことがわかります。




<チェコの再ロックダウン>


急激な感染拡大を受けて、「チェコ政府、2度目のロックダウン発令」という情報がJETROに載っています。10月22日から、通勤は許されますが最小限の移動のみとなり、小売り・サービス業もエッセンシャルなものだけということのようです。マスクの着用も強化されました。これらの対策が功を奏することは間違いないと思いますが、スカイロケッティング状態の感染拡大を瞬時に撃ち落とせるミサイルではありません。二つ上のグラフを見る限り、残念ながら、イタリアと同規模の犠牲者が出る可能性は十分にあると思います。イタリアの緊急事態法令が3月7日であったことを考えると、チェコの今回の対応は遅いのです。


CNNのニュースが入りました。チェコのバビシュ首相は21日、記者会見でなんと5回にわたり国民に謝罪したそうです。


「バビシュ氏は自身と政府が対応を誤ったことを認め、国民に厳格なロックダウン(都市封鎖)の措置に従うよう呼び掛けた。さらに『新たな制限措置で事業主や市民、従業員の生活に影響が出ることを申し訳なく思う。こうした事態になる可能性を事実上否定してきたことについても、おわびしたい。こんな事態になるとは想像できなかった』と謝罪した。」

潔いですね。日本の政治家にはありえない正直さですね。羨ましいですね。でも、冷静に考えると、間違ったら謝るのは人間として当然です。




<チェコの気温>


10月に入ってチェコで感染が拡大した理由の一つは気温だと思います。こちらに、プラハと東京の気温をわかりやすく表したものがあります。プラハの10月は東京の12月に当たるようです。




<まとめ>


他の東欧諸国も見る必要がありますが、一旦まとめます。第一波が低く抑えられたとしても、その原因が明確に把握できるまで、なんの保証にもならないということがチェコの例でわかります。これは、まさに日本にも当てはまることです。そして、日本で本当に危険な時期は12月以降です。


日本では、もう1ヶ月以上、500~600人程度の新規感染者と、6人程度の死者が毎日報告され続けていますが、流行の条件が揃うと、一気に1ヶ月で5倍から10倍になる可能性が十分にあります。政府はたかをくくってGoToキャンペーンに励んでいますが、医療崩壊目前とされた4月と比較して、現状の感染状況は「単に4分の1」程度であることをもっと認識すべきです。


菅首相は、もう、10分の1、いや100分の1にでもなった気でいるのではないでしょうか?





2020年10月23日


ジェレミー・ムーンチャイルド





 
 
 

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