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年齢層別データで新型コロナの死者数予測を追認

  • jeremmiemoonchild
  • 2020年8月9日
  • 読了時間: 6分

更新日:2020年9月25日

前回のエントリーでは、すぐに4月の緊急事態宣言と同様の強い対策を打っても、第一波と同程度の死亡者が出る。それが8月の末まで3週間遅れると、追加で20万人の感染者と4千人以上の死亡者が生まれると述べた。


根拠としたものは、予測を含む感染者数と死亡率をかけ合わせたものだ。


第一波と第二波では、感染者数における死に至る高齢者の含有率が異なる。それを補正するため、第一波では4.7%の死亡率のところを、第二波では1.8%を置いた。このプロセスは含有率から導きされたというよりは、第二波の死者実数に合わせる%を探したものだった。ちなみにグラフの上にあるSimulationの定義の%を変更すると、参照している表における致死率がすべて変わりグラフ上の推計値の曲線が変化する仕組みになっている。


今回は直接、年齢層別感染者の日別データと年齢層別死亡率を使った。これで感染者に含まれる高齢者の含有率は自動的に死者推計に反映される。


年齢層別感染者推移というのは、News Digestにしかない。以前紹介したコレである。表でのデータ提供はないので、カーソルを当てると浮かぶ数字を1時間以上かけて手でエクセルに入力した。(全国で行ったが、地域別で同じ労力を繰り返す気にはなれない。)


年齢層別死亡率も同じサイトにある。同様にカーソルを当てて転記だ。



ここで気が付いたことがある。単純に日別x年齢層別感染者に年齢層別致死率をかけ合わせ、再集計してみても、合計数字が半分近く小さいのである。これは、致死率を出すにあたって、まだ死亡にいたらない直近3~4週間の感染者数を分母に入れているためである。また、どれだけタイミングがずれて死者が発生しているかを入念にグラフを調節して調べると、24日(3.5週間)と出た。感染者として確認されてから死亡するまで、平均して24日ということだ。この24日というマジック数を用い、直近24日の感染者数を分母から差し引いて、赤字の真の年齢層別致死率(CFR)を導いた。60代は4%、70代は13.5%、80代以上はなんと25.1%の致死率である。(ちなみに、TBD(To Be Decided):不明:集計中については、致死率がもっとも高い集団であることから、80代以上に算入した。)



日ごとの年齢層別感染者数に上記年齢層別致死率をかけ合わせ、24日間後方へずらしたものがこちらだ。現時点で、第二波の死者数は第一波を上回ることは確実だ。


実際の死者数との比較がこちらだ。第一波がずれていることに気が付く。それこそがこのようなシミュレーションの意味だ。つまり、24日間後ろにずらせた青線は第二波の治療技術を再現し、今後の予測をすることを主眼に調整されている。防具も情報も不十分で、混乱気味の第一波では、その青線よりも早く、また若干多く亡くなった方がいるということである。実際の治療現場でリスクを負う真摯な医療者は、治療技術の向上を実現した。具体的には、ステロイド剤によるサイトカインストームの抑制が大きいらしい。



次に比較したいのは、前回のエントリーのこの表との比較だ。Simulation 3ではなく、Simulation2の実際の感染者数に基づいた数字が比較の対象となる。今回の予測は8月29日の28人の死亡者までを予測しているが、前回の8月29日の予測は22人である。今回の推計の方が明らかに精度は高いので、1.8%という予測や4週間の遅延という前提が甘かったということになる。


8月29日の数字を合わせるため、こちらのシミュレーターの致死率を2.2%に変更した。



ベストシナリオでの第二波の死者数は250人ていど増えたが、論旨に大きな変更はない。



2020年8月9日


ジェレミー・ムーンチャイルド



追記、


現状、盆休みに入ってしまった人もいるわけで、すでにギリギリまで不毛な議論を繰り広げた政府は、動いてしまった人をさらに混乱させる対策は打てない。となると、8月16日の盆明け直後の緊急事態宣言の再発令というのが現実的なベストシナリオかもしれない。それがこちらだ。この場合、第二波の死亡者数は3,400人程度だ。なんとか、年内に終息できる可能性が残るのが唯一の救いであろうか。もちろん、大量検査に移行することがもう一つの条件である。


2020年8月11日 追記、


年齢層別データによるチャートに実数を重ね、月別集計も加え改良した。今後はこれを「短期予測」として使う。上記のような、感染者数の予測に基づく、死者数の予測は、二重に予測しており、感染対策に大きく左右されるので「長期予測」と呼ぶことにする。「短期予測」にはほとんど恣意性はない分信頼度は高い。



2020年8月12日 追記、


マジックナンバーということで、陽性判明から死亡までを24日間としたが、東京都の関連資料を見つけた。6月末報道発表分のうち、発症日の判明している153人の死亡までの平均日数が17.1日というものだ。発症から陽性判明までは6~7日程度だったので、陽性判明からにすれば、11日程度だろう。上のグラフでわかるように、マジックナンバーでの予測と実際が合い始めているのは6月に入る頃である。第一波における6月死亡者の割合は少ないため、(全国の数字だが、6月死者81名÷累計死者985名=8.2%。)11日というのはほとんど第一波における数字と考えられる。グラフでも、5月までは24日の予測より、2週間程度実際の死亡が早く整合性は取れる。

残念なことは、長く生きた方たちは6月以降に亡くなった方である可能性が高く、そのような分析や、延命理由の解析が資料の中になかったことである。これは東京都福祉保健局の資料だが、本来なら厚労省や感染研で随時トラッキングし、国民に報告すべき内容だろう。どのような治療がどのような結果を生んでいるのか、国民には重要な情報だからだ。


ちなみに、2月の中国で14日間3月のイタリアで8日間という報道もある。前者では高齢者ほど短く、「症状発現から死亡までの日数は14.0日(中央値)で、70歳以上の患者(11.5日)の方が70歳未満の患者(20日)より短かった。」とある。これは、こちらのエントリーの中ほどで紹介したダイアモンド・プリンセス号での死者リストの順序でも確認できる。



24日遅らせたものより何日早いというのはわかりにくいので、年齢層別陽性者x年齢層別致死率から導いた死者推計をかりに陽性判明日に置き、実際の死者に現れるタイミングとの差が広がる様子がわかるグラフを作った。当初の小さな感染の山を見ると、6日どころか数日で亡くなった方がいたのがわかるが、それが11日、14日、24日と期間が延びたのがわかる。発症から陽性判明までのさらに7日弱を足したものが、亡くなるケースにおける発症から死亡までの期間となる。



8月16日 追記、


新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第2.2版 」というものを見つけた。2020年7月17日に発行である。ここに比較的正確な年代別の致死率があった。私の方で使用したのは、30代以下:0.039%、40代:0.269%、50代:0.926%、60代:4.054%、70代:13.522%、80代以上:25.095%であり、各年代とも1割程度私の方が控えめである。



ちなみに、伝搬様式でも「飛沫感染が主体」とあり、接触感染については「あると考えられる」程度だ。サービス業の人たちは初期の情報から、一生懸命拭き掃除ばかりをやっているが、むしろ「窓開け、話をしない等に注力」すべきだと思う。




2020年8月17日 追記、


予測値よりも実数が下回る傾向がはっきりしたので、微修正した。まず、短期予測だが、各年齢層別CFRに0.80をかけた。これは、治療技術の向上により2割の方が亡くならないで済むようになったと考える。実数は見えやすく赤線に変更した。5月の中旬以降は予測値が実数にピタリと沿うようになった。6月20日ごろの小さな実数の山は、厚労省が突然計上した過去の死者なので予測のしようはない。



長期予測は、もともと感染者数に1.8%をかけていたものを、このブログで説明した通り年齢層別予測に合わせるべく2.2%に修正していただが、Simulation 2と3を共に1.7%に変更した。今となってはもとの数値の方が近かったということだ。8月の死者数の予測は、400人程度から330人弱に下がった。




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