コロナ・ワクチンに重症化予防効果はあるのか?
- jeremmiemoonchild
- 2022年1月30日
- 読了時間: 10分
更新日:2022年2月12日
新型コロナのワクチンが導入される頃、「感染は必ずしも防げないかもしれないが、重症化するのを防ぎ、死亡リスクを減らせる。」というようなテレビの専門家の意見を覚えていませんか?
これは、インフルエンザのワクチンなどでも、接種したのに感染してしまった場合によく医者から言われることです。「ワクチン打ってたから、軽く済んでよかったね」などと言われても、なんだかゲーム中にゴールポストをずらされたような気がするものです。製薬会社が用意した詭弁、言い訳のように思えてなりません。
<感染予防効果>
さて、新型コロナのワクチンに関して言えば、むしろ極めて高い感染防止効果が確認されています。治験でも90%を超える数字がでていますし、先行した高齢者接種の後の第5波で、高齢者の感染比率が激減したことからも確認できます。

問題は、これがたった3ヶ月間の期間限定サービスであることです。その後は単に元に戻るのでしょうか?それとも、重症化予防効果は持続し、感染しても致死率は下がるのでしょうか?
<致死率改善効果>
そもそも、重症化予防効果はあるのでしょうか?一般に重症化予防効果といわれるものは、ワクチン接種を受けた群と、偽薬(プラセボ)を受けた群からの死者数などを比較するため、感染予防効果を含んでおり、それと独立していません。ここでは、「致死率改善効果」を定義して議論します。当然ですが、同じ年代同士を比較します。
ブレークスルー感染の致死率 = A%、 未接種者の感染後致死率 = B%
致死率改善効果 = 1 - (A ÷ B)
仮に、Aが6%、Bが10%の場合、致死率改善効果は40%となります。感染しても、ワクチンにより4割の死を防げたということです。
いつものチャートを見ます。面グラフは、年代別の感染者数に、一定の年代別致死率(左上赤字)をかけて、17日遅延させたもので、実際の死者数(赤線)と比較できます。第2波から第4波はおよそ実際の死者数と一致していますが、第5波の実際の死者数は面グラフよりも低く出ています。ワクチンのおかげで致死率が低かったと言えるように思えます。

<東京都の年代別致死率>
東京都の死者の個表データをいただいたので、それで直接、年代別の致死率の推移を出すことにしました。東京都は感染者の個表データを公開しているので、波ごとの年代別感染者数は集計できます。これに、死者の個表から、波ごとの年代別死者数を集計し、比率を計算しました。当然、時期としては死者の波は17日遅延した時期にしました。

まず、驚くことは、70代の致死率に変わりがないことです。100才以上は母数が少ないので無視するとして、80代で28%、90代で13%ほど、致死率の改善があったように思えます。
<東京都のワクチン接種率>
しかしながら、この数字自体が、ワクチンによる致死率改善効果ではありません。全員が接種を受けたわけではないからです。8月1日で2回接種を完了したのは、80%程度です。

<東京都のブレークスルー感染>
一方で、東京都はこのようなデータをまとめています。8/1~9/20の死亡者で、60才以上でワクチン接種歴のわかった303人のうち、15.8%がブレークスルー感染だというのです。(ちなみに、私の集計で7月~11月の60代以上の東京での死者数は664人。)東京都としては、亡くなる人の4分の3はワクチンを接種しなかった少数の人だから、接種しましょうという主旨だと思います。
それはそれで正しいのですが、接種者が多く、感染予防効果も高いと考えた場合、ブレークスルー感染率の15.8%は高すぎるように感じるのです。つまり、9割の人が、9割の感染防御効果のあるワクチンを接種したのであれば、ブレークスルー感染率は1割にも満たず、死者に占めるブレークスルー感染者が15%もいるのでは、重症化予防効果はないどころか、逆効果なのではないかと感じたのです。

<ブレークスルー感染・死亡割合>
これは、冷静に計算をしてみると間違いであることがわかります。下の表の左半分を見てください。仮に、20,000人の70才以上の高齢者が全員感染するような環境に曝露されたとします。たとえば、ウィルス排出量の多い患者の目の前で、お互いマスクをせずに1時間も話し込んだということです。致死率はわかりやすく便宜的に10%とします。20,000人が感染し、2,000人が死亡します。これがいままでの、「ワクチンのない世界」です。
右側が「ワクチンのある世界」です。同じ環境で、同じ高齢者グループに90%の感染防止効果のあるワクチンを90%の人に接種したという前提です。未接種の2,000人はそのまま感染者となるのに対し、接種群では1,800人だけの感染者が発生し、感染者全体に占めるブレークスルー感染割合は47%となります。
さらに、これを母数として、15.8%のブレークスルー死亡割合にするための致死率改善効果は79.2%となります。なんと、コロナ・ワクチンには8割近い重症化予防効果もあったことになります。また、この場合の全体致死率は6.2%となり、もとの10%致死率から4割程度下落しており、私の死者予測と実際の死者とのの解離も説明できるように思います。

しかしながら、接種率も感染防止効果も90%だったかどうかは定かではありません。接種率は85%~90%、感染防止効果は90%~95%の間で考えるべきでしょう。ブレークスルー死亡割合15.8%を成り立たせる4つの組み合わせは以下のようになります。

私の死者予測での第5波の死者数は5,064人で、実際の死者数は3,351人でしたので、これから考えると全体致死率は34%改善したことになり、組み合わせのAが近いものになります。
一方、東京都の致死率の改善は、上述の通り80才以上では大きな改善がみられるものの、70代での致死率の改善が見られず、全体での致死率の改善は10%程度と考えられます。その場合、組み合わせDが近いものとなります。
分母が変わる世界は、なかなか、暗算ではイメージできません。組み合わせにより、致死率改善効果は大きく異なるものの、それは3割~8割の間であったと考える方が妥当でしょう。それにより、全体致死率も1割~4割の改善があったことになります。
<致死率改善効果の継続>
それでは、致死率改善効果(重症化予防効果)は、3ヶ月を経過しても持続して有効なのでしょうか?最新の予測チャートです。実は、30%以上予測に対して低い解離が生じているのですが、予測を上回った時期もあり、まだ判然としません。
要因としても数多く考えられます。
ワクチンの致死率改善効果
ちまたで言われるオミクロン株の毒性
急な感染拡大による死亡計上の遅延
ネーザルハイフローなどの治療技術の進歩
結論から言うと、2回接種後に感染した場合の致死率改善効果が、3か月を超えて有効なのかどうかは、このデータからはわかりません。

<第5波における死者の年代構成>
合わせて、第5波の死者の年代別割合を東京都の実際と、全国の予測とを比較します。第5波の途中で若年層の接種も行われていたので、予測との解離がどの年代で生じたのかを見たいからです。東京都の方が、若年層割合が多いことがわかります。地域が合っていませんので、ワクチンの効果が高齢者に多かったのか、そもそも若年層の感染者割合が東京都の方が多かったからか、わかりにくい状況です。

東京都における月別推移です。年代の区切りと順序が異なり、見にくいかもしれませんが、第5波(7月~11月)での高齢者の割合の減少が見られます。

ワクチン接種は高齢者だけではありません。7月末にはほぼ高齢者は終了しており、その後、子供をのぞく全年代に拡大しました。10月末にはほぼ高齢者以外の接種もおおかた終了していた考えられます。

<結論>
かなり、難解な内容ですので、結論として言えそうなことをまとめます。
1.ワクチン接種により、第5波でブレークスルー感染後の致死率改善効果はあった。
2.それは3割~8割か。
3.東京都のデータから、70代の致死率改善は見られず、80代以上にある可能性が高い。
4.ワクチンのブレークスルー感染後の致死率改善効果は3ヶ月以上継続するのかは不明。
※ ここでは、ワクチンの効果についてのみ議論していますが、副反応や、長期の副作用について、十分な確認ができていないことから、ワクチンによるコロナ対策というのには、私は極めて懐疑的です。致死率の高い、高齢者のみが、おそらく短期的にメリットを享受できるものだと思います。本来は、台湾が現実に示している通り、島国である日本は検査と隔離を徹底することにより、Zeroコロナを達成、維持し、経済も発展できると考えます。
2022年2月3日 追記、
<広島におけるワクチンの致死率改善効果>
広島県にJ-SPPEDというデータがあり、直接第5波におけるワクチンの致死率改善効果が計算できました。こちらが元のデータです。直近(2022/2/2)のアドバイザリー・ボードの資料に、第6波と比較するためにありました。

私としては見づらいので、作り直しました。分子となる重症者数や死亡数が、接種あり・なしで共にそれなりの数があるので使えるデータです。70才以上で、致死率改善効果も重症化予防効果も、6割から7割あると考えられます。40代以下で、100%の効果が気になりますが、これは接種ありの分母が十分に大きくないためです。

したがって、本文の組み合わせの中からは、「組み合わせB」が実態であった可能性が高くなります。一点、本文の内容と矛盾するのは、東京都のデータでは70代の致死率が第5波でその前の波と比較して改善しなかったことです。これは謎として残ります。
さらに、広島のS-SPEEDのデータで第6波の速報もあります。アドバイザリー・ボードで使われたのは、オミクロン株の重症化率、致死率の速報ためですが、その目的には母数が少ないことや、退院時のデータで時期尚早な可能性が高いことから言及しませんが、もっと面白いデータを見つけました。

第6波におけるブレークスルー感染率が年代別に計算できるのです。その下に、1月末時点での2回接種率を並べました。似たようなものですね。接種率とブレークスルー感染率が近いということは、感染防止効果がなくなったということの直接的な証拠です。

そして、感染防止効果が無くなった状態で、もし、致死率改善効果だけが維持されたとすると、矛盾して聞こえるかもしれませんが、致死率は大きく下がります。致死率10%だったものが、4%と6割も減っています。感染防止効果があった時に比べ、死者数も増えるのに、母数である感染者数がより増えるからです。これは非常に重要なポイントで、第6波の致死率が低かった場合、それがオミクロン株の特徴なのか、ワクチンの致死率改善効果なのか、見極める必要があるということです。もし、ワクチン接種のの有無で感染後の致死率が第5波と同様に大きな差があるようであれば、株の違いによるものではなく、ワクチンの効果であったことになります。上の広島の第6波のJ-SPEEDのデータが信頼できる時期になればはっきりとわかります。

新しい株の波が来たときに、正しい分析を用いなければ、その株の致死率などの重要な毒性はわからないことはお分かりいただけましたでしょうか?
2022年2月5日 追記、
本文を書いていた時にも気になったことです。70代では、ワクチンの重症化予防効果はなかったのではないかと論じましたが、60代以下ではむしろ第5波で致死率が上がっているのです。40代、50代では2倍、60代でも3割以上も上昇しています。この部分を拡大したグラフです。この年代でも3ヶ月程度は9割程度の高い感染の予防効果で守られます。しかしながら、この傾向が3ヶ月を超えても続くのならば、むしろ致死率は高くなる可能性があります。世界中で起こっていることかも知れません。

生理学的なことはまったくの専門外ですし、生物はバランスでできているので、「ああ言えばこう言う」世界でもあり、基本的には言及しないようにしています。あえて言いますと、ワクチンは免疫系のバランスを崩している可能性があります。その影響は若い人の方が高く、新型コロナに対する重症化予防は年齢が高い人に高く、拮抗するのが70代のように思えます。
血管系の疾患も血管の炎症と言われるようになりました。新型コロナに関してだけでなく、ワクチンを接種した人は将来的にどのような疾患が多くなるのか、注視するべきだと思います。新型コロナ・ワクチンを接種しなかった人がいなくなると、そのような分析は不可能になります。異様に接種を勧める方の意図が気になるところです。
2022年2月12日 追記、
東京都における第5波の若年層死者の続きです。
%やグラフにするよりも、わかりやすい数字の方が皆さんの反応が良いことに気が付きました。第5波で若年層の重症や死亡が多いことは報道されていましたが、感染者数が多いせいかな、と実は私は思っていました。しかしながら、第5波における若年層の死者数の現れ方はあきらかに異常です。ここまでが事実です。
第5波中に若年層のワクチン接種は進んだので、ワクチンの若年層に対する「重症化促進効果」の可能性があります。(ワクチンの高齢者に対する「重症化予防効果」と逆の現象。)それを確認するには、この死者の接種歴をまず調べる必要があります。

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