8月末まで放置すると死者数は中国を抜く
- jeremmiemoonchild
- 2020年8月8日
- 読了時間: 6分
更新日:2020年9月25日
ここ数日、感染者が増えるだけでなく、あきらかに死者も増えつつある中で、いまだに政府は緊急事態宣言などの強い措置を再導入する気はさらさらない。医療キャパシティには余裕があるというのが主な理由のようである。
「医療崩壊をさせない」は目的ではない
当初から日本では、「医療崩壊をさせない」というのがいつの間にか市民権を得て、まるでそれが感染対策の目標になっているかのようだ。これは、武漢での新型コロナの勃発後、「医療崩壊が起き多数の死者が出た」というニュースが恐怖をもって報じられたことに端を発する。
そもそも、「医療崩壊」という言葉は定義がない。
必要な患者にたいして、
-エクモ装着できない状態を言うのか、
-人工呼吸器が装着できない状態を言うのか、
-中等症の入院患者が受け入れられない状態を言うのか、
-PCR、CTなどの検査が足りない状態を言うのか、
-はたまた、他の医療ができない状態を言うのか。
「イタリアでは医療崩壊が起きた」と確定的に伝えられていたが、後になってそうでもなかったというような報道もあり、定義が確定せずに恐怖を煽るからそうなるのである。
「医療崩壊」という言葉を誰が最初に使い始めたのかは知らない。メディアやネットの情報解析ができる方にはぜひ突き止めて欲しい。だが、それさえ避ければよいというのは根本的におかしい。極論すれば、医療キャパを100倍用意すれば、100倍の感染を許してもよいということになる。
大きな間違いである。100倍の感染があれば、100倍の死者が出る。死者だけでなく、重症になれば呼吸ができない状態で長期間苦しみ、後遺症も残る人も100倍だ。死者や重症者を一人でも少なくするのが医療の目的なのは当然だし、政府もそれを目標にすべきだ。
「医療崩壊を避ける」というのは、医療者という経済的にも、ステータス的にも、また本人たちの健康的にも特権的に守られてきた人々を守ることだと、私には聞こえる。(現場でリスクを負いながら、真摯に立ち向かう医療者以外のことを私は言っている。)
「経済との兼ね合い」もウソ
GoToトラベル・キャンペーンを見て、多くの人がじゅうぶんに分かったと思うが、「多少感染を許しても経済を優先しなくてはならない」という言説は実行力が無く、実態を伴わない。感染が拡大している中で、旅行、飲食などのもっとも打撃を受けたサービス業が元に戻ることなどとうていあり得ない。それらの経済を優先するのなら、徹底的に新型コロナの「封じ込め」をするしか道はなく、それがもっとも手っ取り早く、また安くできる道なのだ。ベトナムのようにである。感染を封じ込めれば、人々は解放され、行動の自由を喜び、旅行や飲食業のありがたみを感じる。いかなる公費を注いだキャンペーンよりも効果があるだろう。
問題の本質に迫らずに解決はない。その間に潰れる企業を支えるのなら、客を動かさずに給付金で支えればよい。
ベストシナリオ
いますぐ4月の緊急事態宣言と同じ、または同等の効果のある対策を打ち出した場合どうなるのかを予測してみた。ハッキリ言うが、これ以上によいシナリオはこの世に存在しない。

おおまかに、予測方法を説明する。
感染者数:
現在、毎週+34%の指数関数で伸びているが、これが急激に鈍化し、8月中旬以降はー23%で減衰を続ける。
死者数:
第二波は感染者の1.8%が4週間後に亡くなる。(Simulation1の第一波は4.7%が2週間後に亡くなるとしていた。)Simulaiton2は、実際の感染者数に基づく。Simulation3は、上記感染者予測に基づく。
結論から言うと、いますぐ最大の措置をとっても、第一波の1,000人の死者数と同等の犠牲者が第二波で生まれてしまう。「今は日に数人だから」という認識は、前を見ずに巨大なトラックをアクセルを踏み込んで運転をしているようなものである。いますぐ、急ブレーキを踏んでも、歩行者天国に突っ込み1,000人をなぎ倒す状況なのだ。
我が政府は、知ってか知らずか、止まる気配がない。
8月末まで放置したシナリオ
今日で、すでに8月も1週が過ぎ、盆休みもあり、あと3週間何もしない可能性がある。そもそもいま議論しているのは、イソジンがどうのこうのと、盆休みに帰省していままで以上に感染を拡大して良いかどうか、といううわついた見当はずれで他国から見れば完全に「謎でしかない」議論なのだ。
かすかな希望は、各首長が独自に行っている対策が功を奏しているかもということだ。私も飲食業における酒の提供が問題であると論じてきたので、東京都などの酒提供の時間短縮が一定の効果がある可能性は否定しない。
ただし、すでに多くの都道府県に感染は拡大してしまっており、東京都などの対策も大きな効果が得られず、もたもたしている間に8月末を迎える可能性は十分にある。その場合はこうなる。

新規感染者数は、現在1,600人くらいであるが、これがあれよあれよと2,000人、3,000人、4,000人と増え、さすがに多くの都道府県で医療キャパにも問題が生じ、9月1日に緊急事態宣言と同等の対策が再度講じられる。しかし、9月の初旬に新規感染者数は5,500人を超えてから、ようやく減少に転じる。しかしながら、年末には感染者累計は28万人となり、ベストシナリオよりも20万人も多い。たった3週間で、である。
死者数は9月に1,500人、10月には2,000人を超え、第二波の死者は4,700人となる。つまり、上記ベストシナリオと比較して、たった3週間の躊躇が、3,000人~4,000人のさらなる死者を生むのである。「緊張感をもって注視している」らしい政府は、このような認識を持っているのであろうか?まさか、今日の発表数字だけを苦虫を嚙み潰したような顔で注視しているだけではないだろう。
それでは、いったい、なにを注視しているのであろうか?
これはもう、満席のリニア新幹線が5台、次々と時速500キロで走っていて、静岡付近の深いトンネル内で天井の崩落が起きたにもかかわらず、そのまま相模原辺りを走らせ続けているようなものである。
誰がどう考えても、なにがなんでも、止めるべきである。
ちなみに、武漢での感染爆発時に、「衛生環境が不十分で、医療体制も日本ほど立派でないからあんなに死者が出た。日本ではあり得ない。」と、ネトウヨに揶揄されたあの中国での累計死者数は4,682人でほぼ止まっており、このシナリオでは日本は中国を抜き、WHOのWestern Pacificの国々でトップに躍り出る。
私がエクセルでコチョコチョ作成したシミュレーションが正確なはずはない。しかしながら、おおよそのケタは合っている自信がある。現実はこの二つのシナリオの間だろう。
まさか、いくら他力本願なのか、いくら献金元優先なのかしらないが、我がポンコツ政府でも、「9月以降も放置」などという国家による自国民に対するテロ的なシナリオまで私に書かせることはないだろうと期待したい。
ん?8月末での死者数は日に20人程度だから、「ま、いっか」って言い出すのか?
2020年8月8日
ジェレミー・ムーンチャイルド
追記、
イソジン吉村が「嘘のようなホントの話し」と切り出したが、それだったら、もっとお金がかからず相当に効果があるかも知れない提案がある。
「3週間、家のそとでは一切話をしない」
という感染対策である。いわゆるエアロゾル感染が主だと考えれば、それを一掃でき、ウィルスを分断、孤立化、除去できる。
仕事でもなんでも一切しゃべっちゃダメ。手振り身振り、筆談、スマホ入力、手話、自動読み上げ機のみが、体面のコミュニケーション手段となる。
テレビニュースも字幕のみ。バラエティ番組は基本筆談を映す。うるさくなくて良い。
「いらっしゃいまっせー、」もなしで笑顔のみ。メニューを指さし注文終了。
政治家は、そもそも意味のあることは話さないのだから問題はない。
逆に、話さえしなければ、なにをしてもよいのかもしれない。旅行に行こうと、酒を飲もうと、海で泳ごうと、サッカーの観戦をしようと、キャンプをしようと。声を出さないのだから、マスクも不要かも知れない。むしろしない方が、対策は徹底するだろう。
同調圧力が大好きな日本人にしかできない、世界をあっと言わせる、コストゼロの感染対策はいかが?
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