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大幅な予測方法の変更の可能性について

  • jeremmiemoonchild
  • 2020年9月5日
  • 読了時間: 11分

更新日:2020年9月22日

さて、自信満々でお伝えしてまいりました年齢層別致死率を用いた予測が、変調をきたしていることは、すでにお伝えしました。こちらがそれの最新版で、もやはピークが訪れているのに4割減といった感じです。


ある方から、陽性報告から24日後ではなく、もとの14日後に戻し、致死率を3分の1ていどに下げた方が第二波には合うのではないかと指摘されました。もしかして、と思いグラフをいじってみるとどうもそんな感じがします。私のグラフには、全年齢層の致死率を一律に調整できるAdjustmentがあり、14日後ににしてからそれを0.4にすると第二波の山形にも実数の赤線が合いますし、7月、8月の数字も合います。


関連の最初のエントリーにあるように、もともと第一波では14日後だったものを、第二波での死者数が上がってこないことと、波形の分析から24日に伸びたと考えていたのです。当時は年齢層別致死率ではなく、全体の感染者数に4.7%をかけていたのですが、年齢層別致死率による第一波の再現を緻密に行ってみました。Adjustmentは1.23で、WaveI(第一波)の合計および各月がおよそ合います。


これはどういうことでしょうか?致死率が0.4÷1.23=0.33で、3分の1に下がったのでしょうか?今後の死亡者は減るのでしょうか?波形分析の遅延は偶然の産物だったのでしょうか?



致死率が下がった原因:


新型コロナの減少の説明や、対策についてはいろいろな方が提唱しています。その中には、集団免疫が日本にはもともとある程度既にあり、それが着々と強化されているという向きもあります。かんたんに言えば、もはや「コロナは風邪」ということです。もともと日本を含む東アジアでは感染者数や死者数が少ないことに加え、上記、致死率の大幅な低下を見ると、まさにそのように見えるかもしれません。



ヨーロッパで唯一強力なロックダウンを行わず、多くの死者を出したと伝えられたスウェーデンで、いつの間にか死者数が順調に減り、一日平均で1人を切ったことなどから、私はそういったものがないとは思いません。むしろ、無策でも早々に終わるなら、高齢者の隔離・保護を入念に行ったうえでそれを期待したいところです。(ちなみに、グラフは実数でスウェーデンの人口は日本の12分の1程度の約1000万人。)



治療技術の進歩で致死率が改善した部分はあると思います。ステロイド剤が、免疫の暴走であるサイトカイン・ストームを防ぐことは以前言及しました。しかしながら、致死率については10%から20%程度の改善と伝えられています。約3分の2の改善の大きな要因は他にあるはずです。



日本の第一波と第二波の致死率が変わったのはあまりにも突然で、7月の初旬に起きています。上の2番目と3番目のそれぞれのグラフが実数と合わなくなった時期です。自然現象ではなく、人為的なニオイがプンプンするのです。


7月に起きたことは何かを考えると、検査の拡大ではないかと思い当たります。検査スンナ派に支配されて6月まではせいぜい1日5,000人程度と、世界から見て極めて少なかった検査数が、7月以降の第二波と共に急激に伸び、現在2万人程度となっています。


検査が増えて致死率が下がるというと、若年層が増えたからとまず考えます。それはそれで、間違いのない事実です。しかしながら、年齢層別致死率を用いたのは、まさに、感染者の年齢構成の変化による全体致死率の変化を避けるためでした。たとえば、死に至らない30代以下がいくら増えても、30代以下の致死率が極めて小さいので相応の分しか死亡予測に反映されないのです。


ここで私が持ち出したいのは、貴重な全数検査をしたDP号のデータです。実は、高齢者における無症感染者の存在を暗示しています。たとえば、70代の乗船者1015人の内、感染者は234人ですが、有症者は95人で、感染者の6割近い139人は無症感染者なのです。


数式で言うと、以下の様ではないかということです。


第一波の70代の致死率  =  70代の死者 ÷ 70代の有症感染者

 ↓

第二波の70代の致死率  =  70代の死者 ÷ 70代の(有症感染者+無症感染者)



具体的な数値で確認します。


こちらが、Adjustmentに1.23を置いた、第一波の年齢層別致死率です。80代が30%を超えていて、いくらなんでも高すぎると思われるかもしれませんが、上で検証したように実際の死者数とあっているのですから仕方ありません。

Adjustmentに0.4を置いた、第二波の年齢層別致死率です。


年齢層別致死率が変わるということは、非常に大きな判断です。いままで、「感染したら70代は10%以上、80代は20%以上の人が亡くなるから恐い病気だ」と言ってきたのは間違いになるのでしょうか?このエントリーの仮説が正しければ、それは感染して「発症したら」ということで、次のようにに言い換えなくてはなりません。


「感染したら70代は5%以上、80代は10%以上亡くなるから恐い病気だ」




もう一つこの仮説で確認すべきことは、実際の年齢層別致死率が変化したのではなく、検査によって見え方が変わっただけだということです。模式図で現わしてみます。私の理解では、この図式全体が濃厚接触者で、この外に濃厚接触者ではなく、よほど重症でない限り、基本的に検査対象外のほとんどの国民がいます。


こうなると、「検査さえ増やせば高齢者でも無症感染がウジャウジャいて、いくらでも高齢者の致死率は下がり、もはや恐い病気ではない」と演繹して解釈する方もいるかもしれません。こういうことや、感度・特異度の永遠の水掛け論を納めるためにも、大規模検査は必要です。10万件くらいの規模で行えば、仮に1件2万円で20億円かかったとしても、400億円以上かかったアベノマスクよりはるかに有意義な結果にいたったと思います。


冷静に考えてみると、船旅をする程度には健康な70代で、ダイアモンド・プリンセス号で感染した人のうち、有症者が4割だったものが、不健康な人も含む実態社会での感染で有症率が1割、あるいは1%と極端に下がることはあり得るのでしょうか。ダイアモンド・プリンセス号の感染状況は実態社会とは異なり、濃度の高い巨大クラスターでの接触で、有症率も高くなるという説明をする人がいるかもしれませんが、なんら証拠がありません。とりあえず、高齢者においても、無症感染者が感染者の内に6割程度いるというのがダイアモンド・プリンセス号から得られた数少ない論拠となる数字です。


こうしたことも、感染者の年代と症状を厚労省が発表していれば推測ではなく事実で確認できるので、もっともっと透明な情報公開を希望します。




死亡予測:


修正した予測方法がより事実を反映していれば、死亡予測は3分の1に減ります。(正確に言いますと、いままでAdjustmentに0.8を入れていたので、それとの比較では2分の1になります。)仮に、このまま終息に向かった場合、繰り返し発信していた「第二波の死亡者数は第一波を越える」というのも、事実ではなくなります。


全体の感染者数の山の高さが第二波は第一波の2倍程度に見えますが、死者数やおそらく実態としての感染者数も高さが半分程度であったことになります。こうしたことも含め、PCR検査方針の明確化が求められます。なんとなく、現場の要望や、首長の恣意によりゴニョゴニョと増やすと、正しい実態像が見えにくくなるのです。実態を正しく掴めなければ、正しい対策は立案できませんし、国民も誤った理解をし、それぞれが勝手に行動基準を設ける可能性があります。




波形分析について:


どれでは、こちらの分析はなんだったのか、という話しです。


いま一度、第一波の再現グラフを載せます。赤線のズレ部分に着目すると、第一波の初期には14日よりも早めに亡くなり、終期には遅く亡くなった方が見えます。言い訳のように聞こえるかもしれませんが、前回言及した死亡報告の遅れも含め、これらのような現象があったことは事実です。しかしながら、第二波の立ち上がりから現在までの説明をするには、検査拡大による致死率の低下の方が死亡日を遅らせるよりも現状を説明していそうだということです。こちらも、各死亡者の発症日、陽性報告日、死亡日、死亡報告日、年代などが公開されていれば、平均の入院日数などを含め、貴重な情報が直接確認できたと思います。



自信をもってお伝えしていた「短期予測」に修正の必要がでたように思いますが、今のところ上記の説明で整合は取れているように思います。「長期予測」にはまだ手が出せていません。




2020年9月5日


ジェレミー・ムーンチャイルド




追記、


最近、感染研が致命率を訂正したようで話題でした。こちらが8月24日資料です。私の使用している第一波と並べると、まあ似たようなものです。感染研はなぜか70代以上と丸めていますが、70代と80代以上の感染者の人数は同じくらいですので、足して2で割ってもだいたい比べられます。



こちらが、9月2日発表です。第二波用の致死率と並べてみます。どうしてこう、いちいち、年齢の区切りを変更するのでしょうね。70才未満をすべて丸めています。



第一波が7.2%だった致死率が、0.9%の8分の1に低下したというような印象のニュースのタイトルが多いです。実際のところは、上に説明した通り、下記の混合の結果で、実態として安心できるのは③だけですし、しかもそれは2割程度しか改善していません。


① 検査拡充による若年層の年齢構成増

② 検査拡充で高齢者年齢層における無症/軽症を分母に含んだこと

③ 現実に医療技術の向上による


こちらのニュースでは、下記のように正しいコメントも最後に入れてはいるのですが。


推計を担当した鈴木基センター長は、「ウイルスが弱毒化した説は考えていない。検査対象の拡大により、無症状や軽症例が多く見つかるようになったため、致命率が下がったとみられ、「第2波」の数値の方が、病気の実態を、より表している可能性がある」と話しています。




追記、


まったく異なる方法で、第二波の致死率を計算しました。DP号の有症率と治療向上を使用しました。1行名は、6月30日までの年代別感染者数です。これは無症感染者を含まないと仮定し、DP号の有症率で割り戻し、全感染者数を推計しました。18,527人ではなく、31,625人の無症も含む感染者がいただろうということです。致死率はAdjustmentに1.23を入れた数字をもとに、これもDP号の有症率で割り、全体ベースを算出しました。これに治療向上のGuestimate0.8をかけたのが一番下です。感染研のまるめた数字と比較するため、対応する数字を右側に置いてあります。70代以上が8.1%というのが感染研の新しい第二波の致命率なので、8.9%は十分に近いでしょう。なんなら、治療向上に0.73を入れると数字はぴったりと合いますが、そういうことはしません。尚、年齢構成は第一波のままなので、全体(TTL)の致死率は感染研の新しいものと理論上合いません。60代以下の致死率も合いませんが、同様の理由だと思います。

Adjustment0.4という数字を使わずに、これだけ近い致死率が出るということは、仮説の信憑性になにがしかの裏付けを与えるものかもしれません。皆さんすでにお気付きかと思いますが、私は数字をいじるのが三度の飯より好きなタイプです。



2020年9月7日 追記、


たまたま、イタリアにおける年代別無症状者の割合の情報に出会いました。直近30日の19,923名の患者ということで、信頼できるのではないかと思います。累積のページには、29,788人のデータもあり、そちらの無症者は全体に少なめですが、直近の方が検査数も多くより実態に近いのではないかと思います。


Asymptomaticが無症状です。Paucisymptomaticという言葉はしりませんでしたが、Pauci-は「微量の」「ほとんどない」ということのようで、無症状者に含めてよいのではないでしょうか。数字そのものは出ていませんが、この情報からはDP号とは異なり若年層ほど無症状が多く、20代~40代は75%程度です。また、70代以上は半数程度ということで、およそDP号データを使用した推計を支持します。ただし、死亡者は含まれていないことに注意が必要です。

ぜひ、日本でも開示して欲しい情報です。グラフの色使いがイタリアのようにオシャレなところまでは求めませんが。



ロシアの論文でも見つけました。新型コロナの致死率は高くないという内容の論文のようです。詳しく読んではいませんが、このグラフでは、66-79才で40%、80才以上で30%程度に読めます。ちなみに、ロシアでの寿命は日本より10年以上短く、72才とされています。男性に限ると60代でびっくりした記憶があります。


2020年9月21日 追記、


マスクが重症化の予防になるという記事を国立国際医療研究センター 国際感染症センターの感染症医、忽那賢志さんが書いています。簡単に説明すると、一般に感染症の重症化率と、病原体の暴露量には強い相関があることが知られており、マスクのフィルタリング効果で暴露量が減れば重症化率も減るということです。誰もが知っている通り、日本では不織布を用いたマスクが長い間品薄状態でした。いつから出回るようになったかを示す販売量は見つからなかったのですが、価格のデータを載せたデイリー新潮の記事がありました。通販サイトにおけるマスクの価格推移です。ネットというのは、流動性の極めて高い市場なので供給が増えれば瞬時に価格低下が反映されるはずです。4月に平均で1枚70円台だったものが5月中旬には20円台まで下がり、6月中旬には10円台、8月に入るとさらに一段さがり10円ちょうど程度まで下がっています。7月以降の致死率の低下の原因を、PCR検査拡大による無症状・軽症患者の捕捉に求めてきましたが、マスクによる暴露量の低下も考えられると思います。


ちなみに、マスクについて基本的な事柄から書かれた資料を発見しました。医療用のN95マスクのフィッティング・インストラクター向けテキストですが、コロナ前に印刷を前提に校了されたものでとても参考になります。


微細粒子のエアロゾルについては、帯電集じん効果を持つ不織布でないと意味がなく、布製のアベノマスクや手製マスクでは意味がありません。上記の通り、不織布のマスクが市場で手に入るようになったことが、7月以降の致死率に貢献している可能性がわかります。




2020年9月22日 追記、


このエントリーは9月5日に書かれたものですが、ようするに上から2番目のグラフを提唱しています。それがその後どうなったのかを載せておきます。青線の長期予測が追加されていますが、他はまったく同じです。赤線が実際の死者数で、それを事前に予測していたことがわかります。今後は、1日平均6人程度で一旦減少傾向はなくなります。


GoToキャンペーンや、小池都知事の酒類提供時間制限の撤廃などが9月19日~22日の4連休前にあり、政府は完全に間違ったシグナルを国民に対して発しました。再増加に転じることが懸念されます。





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