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高橋泰モデル:自然免疫で98%は回復は本当か?

  • jeremmiemoonchild
  • 2020年8月5日
  • 読了時間: 5分

更新日:2020年9月25日

当初は、たんなる珍説か、政府の愚策を擁護するネトウヨへの栄養剤のようなものかと思っていたが、それなりに一貫性のある解釈を提供しているようなので検討してみる。



国際医療福祉大学大学院の方だ。


私の前回のエントリとはすさまじく異なることを提唱している。


1.新型コロナの毒性、感染力はインフルエンザよりも弱い

2.抗体が出てくるまでもなく、98%は自然免疫で対処している

3.日本の国民の3割はすでに新型コロナに暴露している

4.7つのステージがありその確率によると最大死者数は3,800人



詳細については、以下をお読みになることをおすすめする。


東洋経済ONLINE:「高橋泰教授が新型コロナをめぐる疑問に答える」


高齢者住宅新聞:「国際医療福祉大学 高橋泰教授に聞く 新型コロナウイルス 「感染7段階モデル」提唱/暴露は国民の3割、98%はほぼ無症状」


読むのが面倒な方は動画をどうぞ。


とくダネ!(2020/7/24)



読んだり、聞いたりしてみると、それなりの説得力はある。だが、冷静に考えてみると、これは緻密に作られた最強の「コロナは風邪」理論ともいえる。およそ、新型コロナは風邪であり、最悪でもインフルエンザ程度の犠牲者しか出ないので、経済を犠牲にする必要はほとんどなく、日本では検査も対策も適当で良い。



数字を出すところは、私は高く評価する。仮でも数字がなく、多いとか、少ないとかの議論は不毛だからだ。


<70才以上のCFR>


前回の私のエントリーでは、70才以上の高齢者は感染すると10%以上死亡する、これが新型コロナの問題の核心であると述べた。こちらの理論によると、それは、0.0044%÷1.9940% で、0.22%である。50倍高橋泰モデルが致死率を過小評価しているか、私の前提が過大評価しているか、はたまた両方とも間違っているのか、ということになる。


分母としている約2%x30%(新型コロナに暴露)が事実だとすると、全国で0.6%の人が抗体を持っているということになる。


この6月初旬の抗体検査の結果は、東京0.30%、大阪0.34%、宮城0.23%だ。


7月上旬の横須賀の抗体検査では、1.04%だ。


抗体検査が事実を表しているのであれば、およそのケタとして高橋泰理論は正しく、高齢者が感染しても致死率は1%未満で恐れるには当たらないということになる。



しかしながら、またしてもDP号では異なる。70代以上の乗船者は1,242人、PCR陽性者(≒Stage2)は288人、有症者(=Stage3)は124名で、この中から12名(4%)が亡くなっている。(1名は60代なので除外。)有症者を分母にするとやはり9.7%だ。


この点については、東洋経済ONLINEの3ページ目に言及されており、長期間の濃厚暴露の環境でお互いに移し合い、何度も暴露すると体力を消耗し、自然免疫の力も弱くなって、Stage3に進んでしまう確率が上がったのだろうと述べている。70才以上の乗船者は1,242人なので、本来のStage3に進む2%が10%(有症者124名)の5倍に上がったというのである。


ところがこれは自然免疫が効かなかったという話しであり、すでにStage3に進んだ人の致死率(CFR)は0.22%のままのはずだ。また、有症者は下船して神奈川県内の病院に入院したと聞くので、船内に放置されたわけでもない。


高橋泰モデルは、「5月10日時点で死亡者予測のシミュレーションを行ってみた。年齢層別発症者数から算出した死亡者予測は現実と一致」と報じられているが、モデルよりも50倍多いDP号のCFRを説明できていない。



私がもっとも重要だと思う高齢者のCFRについて、高橋泰氏は1勝(抗体検査)1敗(DP号)だ。抗体検査とDP号のどちらを信頼できるかといえば、後者になる。厚労省によると、抗体検査の信頼性については、2019年の検体から0.4%陽性が出たことから結果に注意を促している。




自然免疫について


自然免疫が高橋泰氏の重要な論点だ。なんらか、そうしたものがあることは事実だろうし、感染者の抗体が上がってこないことから、自然免疫で対応しているはずだというのも理解できなくはない。しかしながら、自然免疫は抗体のような客観的な証拠を残さない。証拠性の無いものは科学的な議論では弱い。


30%の暴露とか、98%が自然免疫で対処とか、いったいどこから来た数字なのであろうか。死者、重症者、感染者、抗体保有率、これら以外に新型コロナに関する疫学的な数字となる事実は存在したのであろうか?


抗体保有率A = 暴露率B x(1 - 自然免疫対処率C)


という公式があったとして、わずかながら事実として把握できているのは、Aだけではないのか?Aを仮に0.6%とおいても、


  A      B         C

抗体保有率   暴露率    自然免疫対処率

 0.6%  =  30% x(1 - 98%) 以外にも、

 0.6%  =  10% x(1 - 94%) でも、

 0.6%  =   1% x(1 - 40%) でも、

 0.6%  =  0.6% x(1 - 0%) でも、


公式は成立する。BとCどちらかの事実がないと任意となり、自然免疫対処率が0%から98%まで変わり得るので理論の根幹を揺るがす。



目の前で新型コロナ・ウィルスを自然免疫で処理した患者がいるとすると、その時はPCR検査で陽性だが、抗体が形成されず、症状も出さない。つまり、PCR陽性の無症患者に抗体検査を行い、多くが抗体を形成しなかったという事実がなくてはならない。


そのような事実はあるのだろうか?



もう一つ疑問なのは、国民一人当たり、自然免疫で対処するのが一度で終わりのような計算である。今までの暴露が30%だったとし、この犠牲者が1,000人だから、残りの70%まで暴露するのが最悪で、その場合の犠牲者は全体で3,800人というのである。


これはおかしい。なんでそれで終わりのイメージなのだろう?自然免疫では抗体はできないので、暴露のたびに自然免疫は活躍しなければならない。同一の人がなんどもである。いったい、いままでに30%の人が暴露するほど新型コロナ・ウィルスは蔓延しているというのであれば、年に何回30%の人が暴露するのだろうか?そのたびに1000人の犠牲者が出続けるのではいか?




<まとめ>


残念ながら、私は高橋泰モデルについて、大きな疑いの目を持たざるを得ない。ご自身の理論を証明するには、大規模なPCR/抗体検査などをすべきだが、そのような提案もせず、むしろPCRスンナ派的な発言をしている。新型コロナによる死者数は自殺者を下回るというような、純粋に真実を追求することに邁進する科学者とは思えない発言をちりばめる点も非常に怪しい。また、仮説である以上、多くの前提があり、前提が覆れば理論は崩れるという謙虚な姿勢を貫く必要があるが、動画での自信たっぷりな様子も実に奇妙で感心できない。



ちなみに、高橋泰氏は高齢化社会の解決方法として、「国民の死生観が大きく変わればよい」と考えているようだ。ようするに、「とっとと死んでくれれば」である。これこそが、日本のふしぎな新型コロナ対策の神髄かも知れない。


望まないケア、意思表示を





2020年8月5日


ジェレミー・ムーンチャイルド






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